【11月17日 AFP】オーストリアの表現主義画家エゴン・シーレ(Egon Schiele)の死後100年を記念した一連の展示会が企画される中、ロンドンの地下鉄などではシーレのヌード画がきわどすぎてそのままでは見せられないとの判断から、一部を隠したポスターが掲示される事態となっている。

 ウィーン市観光局(Vienna Tourist Board)のノルベルト・ケトナー(Norbert Kettner)氏によれば、オーストリアのいくつかの美術館が来年、シーレの死後100年を記念した展示会やイベントを予定しているが、シーレの生前に広まっていた作品に対するお堅い態度は、時間が経過してもなお一部では薄れていないようだ。

 ロンドン市交通局(Transport for London)はシーレの2作品「Seated Male Nude」(1910年)と「Girl With Orange Stockings」(1914年)のオリジナルについて、社会の常識を外れていると判断。これらは性器の描かれた辺りを覆うようなポスターとして地下鉄構内に掲示された。

 ケトナー氏はAFPに対し、ヌードに関するテーマを議論したかったため、意図的に作品を選んだと話しているが、ドイツで掲示されたポスターにも同様の処理が施された。

「大判のポスターについても掲示のゴーサインをもらっていたが、掲示前日になって、倫理委員会が(フルヌード版は)ロンドンの地下鉄などでは受け入れられないとして、合意を撤回した」とケトナー氏は説明した。

 ウィーン市観光局は即座に、「ごめんなさい。100年経ってもまだ大胆すぎます」との文言で問題の箇所を覆う修正をポスターに加えた。

 シーレは1890年生まれ。28歳のときにスペインかぜで亡くなった。オーストリアでは一部の保守層などを中心にシーレのエロチシズムを快く思わない向きもあり、常に支持を得ていたわけではなかった。(c)AFP