【11月17日 AFP】男子テニス、四大大会(グランドスラム)通算16勝を誇るラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は16日、同選手がドーピングを隠ぺいしたと主張したフランスの元スポーツ相ロゼリーヌ・バシュロナルカン(Roselyne Bachelot-Narquin)氏を名誉毀損(きそん)で訴えていた裁判に勝訴した。

 仏パリで開かれた裁判で、バシュロナルカン氏は500ユーロ(約6万7000円)の罰金に加え、1万2000ユーロ(約160万円)の損害賠償と裁判費用の支払いを命じられた。同氏は2016年3月、同国テレビ局のD8に対して、ナダルが膝の故障で2012年シーズン後半の6か月を欠場したのは、薬物検査で陽性だったことを隠すためだったと発言していた。

 過去の薬物検査で失格になったことは一度もなく、禁止薬物の使用を否定してきたナダルは昨年、それまで自身に対する一連の疑惑報道については無視してきたものの、10万ユーロ(約1300万円)の損害賠償を求める裁判を起こす決意に至ったのは、前例を示すためだったと説明していた。

 今回の判決を受け、「フランスの法制度に最大の敬意と信頼」を示したナダルは声明で、「裁判に訴えることを決意したのは、スポーツマンとしての自分の名声だけでなく、キャリアを通してずっと維持してきた価値観を守るためだった。訴訟の際にも話したが、動機は決して金銭ではなかった」と述べた。

 ナダルの弁護人を務めるパトリック・メゾンヌーブ(Patrick Maisonneuve)氏は、先月開かれた法廷審問でドーピング疑惑によって同選手の「現在あるいは将来のスポンサー」に関して「重大な結果」を招く可能性があったと訴えた。(c)AFP