【11月18日 CNS】中国・江蘇省(Jiangsu)啓東市(Qidong)の浜辺の浅瀬で13日の昼ごろ、子どもとみられるザトウクジラが打ち上げられているのが見つかった。現地の漁師からの通報を受けた同省公安局辺境防衛部・連興港(Lianxing)の警察官と漁師らで水をかけるなどして助け、救援船の誘導と潮位の上昇に助けられ、同5時半ごろにクジラを海に戻すことに成功した。

 だが翌14日午後1時には、クジラは再び戻ってきてしまい、前日に打ち上げられた場所から西南約2キロ先の啓東圓陀角(Yuantuojiao)リゾート付近の浅瀬に迷い込んだ。前日のような元気は無かった。6時間におよぶ救護処置を経て、同午後7時、なんとか再び海へと戻っていった。

 翌15日早朝になると、再び周辺の浅瀬に迷い込んでしまった。多くのネットユーザーや動物愛好者たちからの心配を集め注目されていたが、体力が低下したため、子どものザトウクジラは迷子のまま死亡してしまった。

 死亡したのは雄のザトウクジラで、救助活動時の計測では、体長7.5メートル、尾ひれの幅2メートル、胸ひれを広げた横幅は6.6メートルで、総重量は約3トンだった。救援に参加した啓東圓陀角リゾートでは専門機関に子クジラのはく製の制作をを依頼することに決めた。展示することで海洋知識を普及させたいとしている。

 河海大学(Hohai University)海洋学院の専門家、高天珩(Gao Tianheng)氏の解説によると、「クジラ類は幼少期や未成年期に母親と離れると容易に危険な状況に陥ってしまう。特にクジラが体内に持つ「自身が出す音波を反響させることで位置情報を確認する『エコーロケーション・システム』が機能しなくなったり、水底の騒音を仲間のクジラと誤認したりすることで、同じ場所を回遊し続けるなどの状況が発生する」という。

 高氏によると、このような状況下で座礁したクジラ類を救助するのはとても難しいという。クジラ類は水生ほ乳動物として肺呼吸をするため、一度浮力を失うと、噴気孔に水が入りそのまま窒息死する可能性もある。「大型のクジラであれば救援活動はより困難になる。この子クジラは、母親の保護もなくすでに何かの病気にかかり、救助がさらに困難になった可能性がある」と述べている。(c)CNS/JCM/AFPBB News