【11月16日 AFP】ミャンマーの治安部隊がイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の人々の喉を切り裂いたり、生きたまま焼いたりしていたとの報告書を15日、人権団体が発表した。ロヒンギャに対する「ジェノサイド(大量虐殺)」が行われた膨大な証拠があるとしている。

「彼らはわれわれを根絶やしにしようとした」と題された30ページにわたる報告書は、生存者、目撃者、国際援助団体の職員などを対象に行った200件を超える聞き取り調査に基づいたもの。米ホロコースト記念博物館(Holocaust Memorial Museum)と、東南アジアを拠点とする人権団体フォーティファイ・ライツ(Fortify Rights)が共同でまとめた。

 報告書には昨年10月9日~12月と今年8月から現在までのロヒンギャ民間人に対する「大規模かつ組織的な攻撃」が記録されている。

 報告書によると、集まった証拠からは、仏教徒が多数を占めるミャンマーで2回にわたって相次いだ攻撃の際に「ミャンマー国軍と民間人が、人道に対する罪と民族浄化の罪を犯した」ことが浮き彫りになった。「ロヒンギャ住民に対するジェノサイドに相当するこうした行為の証拠が山ほどある」という。

 報告書は、ミャンマー軍が西部ラカイン(Rakhine)州で昨年10月から行っている「一掃作戦」について、実際には「大規模な残虐行為を行うメカニズム」となっていると指摘。「国軍は空と地上からロヒンギャ民間人を銃撃した。兵士やナイフを手にした民間人が、ロヒンギャの男性、女性、子どもに切りつけ、喉を裂いて殺した」としている。

「ロヒンギャの民間人は生きたまま焼かれた。兵士たちは個人や集団でロヒンギャの女性や少女をレイプし、男性や少年を恣意的に一斉逮捕した」とも報告書は述べている。今年8月末に3つの村で大量虐殺が行われたとの証言もある。

 これらの証拠や証言は、フォーティファイ・ライツとホロコースト記念博物館サイモン・スキョート虐殺防止センター(Simon-Skjodt Center for the Prevention of Genocide)のスタッフがラカイン州と、同州から逃げたロヒンギャの人々が殺到しているバングラデシュ国境地域で現地調査を行って集めたという。(c)AFP