【11月15日 東方新報】11月11日の「独身の日」(双11)といえば、過去には販売促進や割引の代名詞だったが、今年は違っていた。消費、小売、技術の「三大アップグレード」を象徴していたからだ。

 アップル(Apple)の携帯電話、スキンケアのSKⅡ、価格が1万元(約16万5000円)以上もするマッサージチェア、スマート冷蔵庫……各大手インターネットショッピングサイトが発表した「双11」商戦のデータによると、高品質で個性的な商品が大多数の中国消費者の選択商品になり、消費傾向が全面的に高級化している。

 Eコマース大手の京東(JD.com)がまとめたところによると、生鮮食品やぜいたく品から自動車のアフターケア、室内装飾などのサービスも爆発的に売れたという。時計だけでも「双11」当日だけで40万個を販売。人気海外ブランドの「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」はこの日1日だけで、昨年の月間売り上げを上回った。なかでも、アップルのノートパソコンは「双11」商戦に突入した直後の11日午前零時から1分間で1万台の販売を突破。家具などの国際ブランドの売上高は午前8時までで、前年の1日平均販売額の2倍に達した。

 Eコマースの二大巨人、アリババ(Alibaba)と京東が突出していた。アリババが運営する「天猫(Tmall)」での「双11」売上総額は、1682億元(約2兆8780億円)に達した。同じく、京東は累計受注金額が1271億元(約2兆1751億円)だったと発表した。推計では、今年の「双11」に全国の各Eコマースサイトで成約した合計額は3000億元(約5兆1340億円)に上った。

 また、中国のインターネットショッピングの新しい成長エンジンになりつつあるのが、農村部の購買力だ。同国の最大小売「蘇寧雲商集団」(Suning Commerce Group)の統計によると、今年の農村部市場では、エアコン、浄水器、冷蔵庫の販売が倍増し、高級志向が進んでいる。また、マタニティー&赤ちゃん用品や飲料、日用消耗品など電化製品以外の需要も上昇しているという。

 中国企業の製品が、世界的なブランドの売り上げを上回ったケースもある。ファーウェイ(Huawei)の発売したスマートフォン「honor」は京東と天猫両社のプラットフォームの力を借りて売り上げを伸ばし、「双11」の1日の売り上げで今回初めて、アップルを超えたという。

「双11」は、「独身の日」のはずだが、独身者と関連性が低いと思われる商品も勢いの波に乗って売れている。世界最大規模の児童用オンライン英語教育プラットフォームVIPKIDの発表によると、この日1日の売上額が1億6200万元(約27億7749万円)を突破した。天猫や京東の売上に比べると大きな数字ではないように見えるが、中国でオンライン英語教育プラットフォームを始めて4年という短期間で1日に売り上げたのだから、やはり目を見張らざるをえない。