【12月3日 AFP】そのコンセプチュアル・アート作品は、一見したところはなんの変哲もないドアマットだ。しかし、このマットの開発者はこれが地球外生命の地球訪問を誘発し、ひいては宇宙考古学の発展につながると主張する。

「宇宙歓迎マット(Cosmic Welcome Mat)」と名付けられたドアマットは、実験哲学者のジョナソン・キーツ(Jonathon Keats)氏と豪フリンダース大学(Flinders University)の宇宙考古学者、アリス・ゴーマン(Alice Gorman)氏が制作したもので、下地の黒に赤や空色、紫の模様を配したデザイン。赤い色は地球外生命、黒は大気圏外空間、空色は地球、紫は人工の室内照明を表しており、宇宙の全生命体を温かく迎えるメッセージがこめられているという。

 いずれはこのマットを世界中に設置したいと考えるキーツ氏は、国際宇宙ステーション(ISS)にもこのマットを導入すべく米航空宇宙局(NASA)とも協議中だという。

 これまで遺伝子操作による「神」の創造や観葉植物向けのポルノ映画制作などの実験に取り組んできたキーツ氏。「宇宙歓迎マット」の開発に取り組んだことで、地球外生命体とのコミュニケーションだけでなく、同じ地球に住む人同士でのコミュニケーションについて人々にもっと深く考えてほしいと願うようになったという。「究極的な宇宙人とのコミュニケーション方法を考えているうちに、私たち人間はどうやって互いにコミュニケーションをとっているのかと考えるようになったのです」

 一方、キーツ氏とともに「宇宙歓迎マット」を開発したゴーマン氏は、マット上にたまったちりの中に宇宙からの物質が含まれている可能性があると語った。「地球の表面には、宇宙から毎年約4万トンもの物質が落ちてきます。ならば、マットの上に落ちてきたちりの中に地球外からの物質が含まれていても不思議ではありません」

 ゴーマン氏は、ディスプレー用に制作した大型マットの表面をブラシでこすりながら「こうして集めたちりを分析して、新しい考古学の創造にもつなげたい」と意欲を示した。(c)AFP/Glenda KWEK