【11月15日 AFP】W杯ロシア大会(2018 World Cup)大陸間プレーオフ第2戦を前に、小型無人機(ドローン)で「スパイ」行為をはたらいたとして ホンジュラス陣営がオーストラリアを批判し、決戦ムードに新たなスパイスを加えている。チームの公式練習中にドローンがスタジアムの上を飛んでいるのを発見したホンジュラスのホルヘ・ルイス・ピント(Jorge Luis Pinto)監督は「恥ずべき行為だ」としているが、オーストラリアの地元紙は、ドローンを飛ばしたのは近くにいた子供だと報じている。

 報道によると、ピント監督はそのほかにもホンジュラスのメディアが相手に情報を漏らしたと主張し、スコアレスドローに終わったサンペドロスラ(San Pedro Sula)での試合前には、オーストラリア側が隠しカメラを徹底捜索していたと示唆している。

「今回の件は、これほどの先進国にとって恥ずべきことだと思う。残念だ。(オーストラリアがホンジュラスを訪れた際)彼らはスタジアムのトイレをチェックして、われわれがカメラを置いていないかを確かめていた。恥ずかしい。これだけの文化とレベルを持つ国があんなことをするなんて」

「のんきにしてはいられない。ドローンのテクノロジーを使って始まるのは、サッカーにおけるスパイだ。規制する必要がある。映像判定と同様にサッカーの世界に入り込んできている。ドローンがスパイに使われている」

 一方、オーストラリアのアンジェ・ポステコグルー(Ange Postecoglou)監督は、情報のリークを求めたとの主張を一蹴し、「正直に言ってどうでもいい。自分たちのことだけに集中している。第1戦の前にもいろいろあったが、今回もわれわれは向こうの手に乗るつもりはない」と語った。

 両チームはともに長旅を経てシドニー(Sydney)へ移動してきているが、100万豪ドル(約8600万円)を費やして飛行機をチャーターしたオーストラリアは、一日早く到着したことで回復に時間をかけることができている。ポステコグルー監督は「今回の戦いは、過去最も長いW杯予選だろう。試合数の面でも、移動距離の面でもね。だからこそ、そのすべてが無駄だったということにはしたくない」と話している。

 オーストラリアは今回の予選ではホームで負けておらず、12年前の大陸間プレーオフではPK戦の末にウルグアイを破り、32年ぶりの本大会出場を決めた。チームが狙うのは4大会連続のW杯出場。一方のホンジュラスは、敵地で番狂わせを起こして3大会連続の出場を狙う。

 オーストラリアではマシュー・レッキー(Mathew Leckie)とマーク・ミリガン(Mark Milligan)が出場停止から復帰。ロビー・クルーズ(Robbie Kruse)のけがも癒えているとみられる。

 シリアとのアジアプレーオフで2得点を決め、今回の大陸間プレーオフにチームを導いた37歳のティム・ケーヒル(Tim Cahill)も、第1戦を欠場する原因となった負傷のことはもう考えないと話し、試合に出られる状態だとアピールしている。

 オーストラリア代表の歴代最多得点者のケーヒルは「メンバー選考の対象になった時点で、足首やけがのことは考えない。考えるのは、チームに貢献して4大会連続のW杯出場を勝ち取るという最終結果のことだけだ。試合が終われば、体を治す時間はいくらでもある。大きな見返りがあるんだ。体の痛みなどささいな犠牲だよ」とコメントした。

 ポステコグルー監督については、今プレーオフ後に辞任するとも報じられており、去就が不透明になっている。本人は報道を否定している。(c)AFP