【11月15日 AFP】80年前、ポーランドのワルシャワ・ゲットー(ユダヤ人が強制的に居住を指定された区域)で死に直面したユダヤ人たちは、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)犠牲者の証言が後世に伝わることを願って、貴重な記録文書を作成し、隠した。

 他に類を見ない記録文書の一部は現在、ポーランドの首都ワルシャワにあるユダヤ人歴史協会(Jewish Historical Institute)の初の常設展で公開されている。

 ワルシャワ・ゲットーでの証言をまとめた「リンゲルブルム・アーカイブ(Ringelblum Archive)」の16日の正式公開を前に、歴史家で展示のキュレーターを務めたパベル・スピワク(Pawel Spiewak)氏はAFPに対し、「これはユダヤ人にとって、大戦期最大の宝だ。死が迫っていたことを伝える貴重なものだ。数週間後、数か月後、あるいは数時間後に死を運命づけられた人々の証言を伝えるものだ」とコメントした。

 ユダヤ人の歴史家で活動家のエマニュエル・リンゲルブルム(Emmanuel Ringelblum)は仲間を率いて文書を収集。文書を金属製の牛乳ポットや箱に入れて、ナチス(Nazi)から隠した。

 リンゲルブルムらはワルシャワ・ゲットーでの恐怖体験を目撃者から聞き、記録した。ワルシャワ・ゲットーはナチスの占領地区最大のゲットーで、約48万人のポーランド系ユダヤ人が送り込まれた。(c)AFP