【11月15日 AFP】米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は14日、財政危機に陥っている南米ベネズエラの外貨建て長期国債の格付けを「選択的デフォルト(SD)」に引き下げたと発表した。

 格下げは、ベネズエラが2件のグローバル債の利払いに必要となる2億ドル(約230億円)を、30日間の支払い猶予期間の最終日だった12日までに支払えなかったことを受けた措置。S&Pによると、ベネズエラは他の4件の債務4億2000万ドル(約480億円)についても支払い期限を過ぎており、猶予期間に入っている。

 一方、欧州系格付け大手フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)も、国営ベネズエラ石油(PDVSA)が債務2件、計約20億ドル(約2300億円)の返済に1週間の遅れが出たことから、同社をやはりSDに格下げした。

 選択的デフォルトが1500億ドル(約17兆円)に上る公的債務などにも広がれば、ベネズエラは完全なデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。

 同国では、債務返済のための輸入削減により食料や医薬品が不足する事態が発生しており、今回の債務危機は想定外ではない。

 同国の外貨準備高は100億ドル(約1兆1300億円)を切っており、債務返済のためには今年中に14億ドル(約1600億円)、来年にはさらに80億ドル(約9100億円)を調達しなければならない。

 ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は、国家およびPDVSAの債務整理のため委員会を設置。第1回会合が13日に首都カラカスで開かれたものの、出席者によると、政府側は交渉の具体案を提示しなかった。(c)AFP/Maria Isabel SANCHEZ