【11月11日 CNS】中国の「独身の日」と呼ばれる11月11日の「双11」商戦を目前に、宅配用ダンボールの浪費と環境汚染の問題に変化が起こっている。

 インターネット上でも話題になっている「シェア宅配箱」はプラスチック製で、繰り返し利用できる。

 中国の小売り大手、蘇寧(Suning)によると、2000回以上使用することで、およそ樹齢10年の木1本を救うことになるという。「双11」期間中に13都市で採用し、2018年までに20万個導入する予定だという。またアリババ(Alibaba)傘下の物流サービス会社菜鳥網絡(Cainiao Network)、順豊速運(SF Express)などの物流・宅配業者も導入を始めている。

 北京(Beijing)の順豊の配達員は、生鮮商品の配送などの際に、シェア宅配箱の中に氷を入れているが、コストが高いため、もしも紛失・損傷などの場合には配達員が弁償費用80元(約1379円)を負担しなければならないという。

 もしも受取人が家にいなかった場合、荷物をどこに預けて、シェア宅配箱はどのように回収するのかなどの問題もある。

 これについて蘇寧は、まずは第1段階として、受取人のサインが必要な配達物の場合のみ導入し、次の段階では集合住宅や付近の商店などに宅配箱の回収場所を設置する予定だという。

 さらに、多くの配達員が最も心配している問題は、配送の効率が下がるのではないかという問題。歩合制であるため、なるべく効率よくたくさんの荷物を運ばなければならない。以前は大小さまざまな大きさのダンボール箱を工夫して積んでいたが、新たな宅配箱はスペースを取る。

 中国国家郵政局によると、2016年、全国の宅配注文数は300億件以上、消耗したダンボールは約86億個にも上った。また、同局は2017年の「双11」期間には宅配注文数が10億件を超えるだろうと予測している。

 中国再生資源回收利用協会によると、1トンの廃紙から0.8トンの再生紙を作れるが、残りの0.2トンを補うために、新たに木が伐採される。また、生産の過程で石炭や電気などのエネルギーが消費されることにより、水や大気などの汚染にもつながる。

 専門家は、「物流業界にとってこの1歩は価値のあるものだが、短期間では従来のダンボールから切り替えるのは難しい。企業だけで実行しようとするのではなく、業界全体で関連機関と共同で取り組むべきだ」としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News