【11月13日 AFP】世界ロードレース選手権(WGP 2017)は12日、最終第18戦スペインGPの決勝が行われ、緊迫したレースで3位に食い込んだレプソル・ホンダ(Repsol Honda)のマルク・マルケス(Marc Marquez、スペイン)が自身4回目のMotoGPクラス年間優勝を決め、名ライダーの仲間入りを果たした。

 前回までに年間2位につけるドゥカティ(Ducati Team)のアンドレア・ドビツィオーゾ(Andrea Dovizioso、イタリア)に21ポイント差をつけていたマルケスは、レースを11位以内で終えるか、またはドビツィオーゾが優勝を逃すかでチャンピオンになれるという圧倒的に有利な状況でシーズン最終戦を迎えた。

 そしてシーズン序盤にタイトル争いをリードしたドビツィオーゾが残り5周でクラッシュしたことで、両者の争いには決着がつき、最後はマルケスが37ポイント差で年間王者に輝いた。レースは同じくホンダのダニエル・ペドロサ(Dani Pedrosa、スペイン)が制し、モビスター・ヤマハ(Movistar Yamaha)のヨハン・ザルコ(Johann Zarco、フランス)が2位に入っている。

 まだ24歳ながらすでに完成されているマルケスは、これでMotoGPクラス参戦わずか5年目で4回目の年間優勝を果たした。24歳での最高峰クラス4回制覇は史上最年少記録となり、年間優勝回数はマイク・ヘイルウッド(Mike Hailwood)氏、ジェフ・デューク(Geoff Duke)氏、ジョン・サーティース(John Surtees)氏、エディ・ローソン(Eddie Lawson)氏に並んだ。

 マルケスの年間優勝回数を上回るのは歴代でも3人しかおらず、同8回のジャコモ・アゴスチーニ氏(Giacomo Agostini)、7回のバレンティーノ・ロッシ(Valentino Rossi)、5回のミック・ドゥーハン氏(Mick Doohan)となっている。

 ポールポジションからスタートしたマルケスは、4周目にザルコを先行させ、序盤でのクラッシュという最悪の展開を避けやすい状況を作った。それでもザルコを抜き返したい意欲を抑えきれなかったマルケスは、完勝での年間タイトル獲得を目指してアタックを敢行。ところが残り8周で大きくオーバーランするとスタッフは思わず息をのみ、マルケスはレースに生き残りはしたが順位を5位まで落とした。

 今季27回のクラッシュを経験しながら年間優勝を果たしたマルケスは「レース中はなんとか自分を落ち着かせて状況をコントロールしようとしてたんだけど、今こそ行くべきだと思ったんだ。すごく感触が良かったからね」とコメントした。

「ターン1のブレーキングポイントで集中を欠いて、ブレーキをかけるのが遅れてしまった。最後まで僕らしい走りだった」

 マルケスのミスでドゥカティにも逆転優勝の芽が出たかに見えたが、その直後、序盤から限界まで攻めていたつけが出たのか、ホルヘ・ロレンソ(Jorge Lorenzo、スペイン)とドビツィオーゾがどちらもクラッシュして希望は断たれた。

 ドビツィオーゾは「レース全体を通じて限界を超えた走りをしていて、それで二人ともミスが出た。チームのみんなとすべてのスポンサーにありがとうと言いたい。最高のシーズンを送ることができた」とコメントした。

 その一方でドビツィオーゾは、マルケスが大きくコースを外れたことに色気を出し、それまで以上に攻めたせいで自分にもミスが出たと認めている。

「あれはマルクにはよくあること。僕の方は前方を走るライダーにアタックできるようなスピードがなかったから、あれを見て『よし、良いぞ』と思ったけれど、おかげでそれまで以上に頑張り過ぎてしまった。でも、あの時点ですでに100パーセントで走っていたんだ」 (c)AFP