【11月12日 AFP】冷戦(Cold War)時代に旧ソ連の国家保安委員会(KGB)に機密情報を流していたことが発覚してソ連に逃れた英国の元外交官ジョージ・ブレイク(George Blake)が11日、95歳の誕生日を迎えた。ロシア国営テレビで放映されたインタビューでブレイクは、社会主義の理念を今も信じていると述べ「そうでなければ、とっくに死んでいただろう」と語った。

 朝鮮戦争(Korean War)で北朝鮮の捕虜になったブレイクは、米軍機による民間人への爆撃を目にしてソ連の情報提供者になることを決意。英国の情報員多数の氏名や当時の東ベルリンにあった西側情報員が盗聴用に利用していたトンネルの存在などの情報をKGBに流した。

 1961年、ブレイクはポーランドの二重スパイによってKGBの情報員であるこを暴露され、禁錮42年の刑を受けるが、1966年に脱獄。東ドイツを経由してモスクワに逃れた。

 95歳という年齢に達したことについて、ブレイクは「1人の人間にとっては長い年月だが、人類の歴史においてはごくわずかな時間だ」と述べた。自身の過去については「一瞬たりとも後悔したことはなく、将来を楽観視している」と語った。

 また四半世紀以上も前に起こったソ連崩壊については「真の社会主義につながる長い道のりの単なる一段階にすぎない」との見解を示し、「西側の人々と同様に、ここ(ロシア)の人たちも個人個人に多くが求められる(社会)主義に対する準備が今のところまだできていないのだ」と付け加えた。(c)AFP