【11月12日 AFP】インドネシアのジャワ(Java)島中部ジョクジャカルタ(Jogjakarta)市内にあるろう人形館「ディアルチャ・スタチュー・アート・ミュージアム(De ARCA Statue Art Museum)」は、海外から強く批判されたことを受けてナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の等身大のろう人形を撤去した。関係者が11日語った。

 ヒトラーの人形は、アウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所の門を背景に立っている形で展示され、来館者が一緒に自撮り写真を撮影できるようになっていた。これが海外メディアに報じられると、直ちに米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon Wiesenthal Center)」が厳しく批判。ディアルチャ・ミュージアムの運営幹部は、同人権団体の反発に十分留意してヒトラーの人形を撤去したと述べた。

 ミュージアムには、世界の首脳や有名人のろう人形が約80体展示されている。ヒトラーの人形はその一つで、大勢の来館者が一緒に自撮り写真を撮っていた。子どもたちがヒトラーの人形と並んでポーズを取っている写真がソーシャルメディアで拡散し、中には来館者がナチス式の敬礼をしている写真もあった。

 アウシュビッツはナチス最大の強制収容所で、110万人余りが犠牲になったとされる。歴史学者の間には、インドネシアでホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)の認知度が低く、この問題が慎重に扱われていないのは教育が徹底していないためだとの見方がある。

 インドネシアはイスラム教徒の人口が世界最大で、ユダヤ人は少数にとどまっている。(c)AFP