【11月11日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は10日、ロシアが国家ぐるみのドーピングを行っていた可能性を示す新たな証拠につながる詳細な内部データを、同国の薬物検査所から入手したことを明らかにした。

 WADAの声明によると、モスクワの検査所から入手したとされるこのデータファイルは、ロシアが組織ぐるみの大規模なドーピングを行っていた疑いがある2012年から2015年までのもので、この「膨大な」データの山は同機関の情報調査局が精査した上で、今月15日から16日に行われる理事会で報告されることになっている。

 WADAがロシアのデータベースを入手したと最初に伝えた米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、関係者2人の話を引用し、ロシア当局が調査官に情報を手渡すのを拒否したあと、これらのファイルは内部告発者からリークされたと報じた。ファイルの中には、モスクワの検査所が実施したロシア選手の検査結果が数千件含まれているという。

 2018年平昌冬季五輪を控えて国際オリンピック委員会(IOC)がロシアの処遇を検討している中、WADAが新たな証拠となるデータベースを入手したというニュースが流れたことで、IOCの責任者は厳しい制裁を下す必要に迫られる可能性があると同紙は報じている。

 WADAの独立調査官リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が2016年に発表した報告書で、2011年から2015年まで国家ぐるみの大規模なドーピングが行われていたと指摘されて以降、ロシアは一連の疑惑の渦中に置かれている。

 この報告書によると、ロシアでは2014年のソチ冬季五輪をピークに不正が横行しており、諜報機関が巧妙なドーピングシステムを構築して自国の選手が金メダルを獲得できるようにしていたとされている。

 国ぐるみのドーピング疑惑について、これまでロシアは繰り返して否定している。(c)AFP