【11月11日 AFP】米国の女子体操選手で五輪金メダリストのアレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)が、同国体操連盟(USA Gymnastics)の元チームドクターで20件以上の性的暴行罪に問われているラリー・ナサール(Larry Nassar)被告から性的虐待を受けていたと告白した。

 ナサール被告からの性的いたずらを訴えた米国代表選手の中では最大のスター選手である23歳のレイズマンは、10日に放送された米CBSのニュース番組「60ミニッツ(60 Minutes)」の予告編で性的虐待の被害者だったことを明かした。番組の全編は12日にオンエアされる予定となっている。

 米国チームの主将を務めた2012年ロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪で手にした計3個の金メダルを含め、合計6個の五輪メダルを獲得しているレイズマンは、15歳のときから治療を受けてきたナサール被告について、「怒りを覚えます。本当に腹が立っています」と語った。

「写真やサインを求めてくる若い少女たちの姿や笑顔をみるたびに、私はこう考えています。彼女たちが同じような経験をしないように、とにかく状況を変えたいと」

「なぜ、少女たちが声を上げなかったことに私たちが直面しているの? なぜ、こうした環境を直視しないの? この国の体操連盟やラリー・ナサールは、どうやって少女たちを操り、恐ろしくて声を上げられないようにしたの?」

 先月には米国代表のチームメートで21歳のマッケイラ・マロニー(McKayla Maroney)が、ナサール被告から治療とみせかけた痴漢行為を受けたと暴露。今月「Fierce」という表題の著書を出版するレイズマンも、リオ五輪終了後に米連邦捜査局(FBI)にナサール被告に関することを話していたという。

 ナサール被告は30年近くにわたり米国体操連盟で働き、五輪4大会で同国体操チームの治療を行っていた。同被告はすでに児童ポルノ所持で罪を認めており、現在問われている22件の性的暴行で有罪が確定すれば、終身刑に直面する可能性がある。

 米国体操界ではナサール被告の問題をはじめ大規模なスキャンダルが発覚しており、昨年には同連盟の会長を務めていたスティーブ・ペニー(Steve Penny)氏が、被害者から虐待疑惑を即座に当局に通報しなかったとして批判され、辞任に追い込まれた。

 連盟は番組で発表した声明で、「被害に遭ったアスリートの皆さんに心から謝罪します。アリー(レイズマン)や選手全員と協力して、アスリートの安全を図りたい」と述べた。(c)AFP