【11月10日 CNS】中国・上海市(Shanghai)のオンライン旅行サービス大手、シートリップ(Ctrip、携程)の社内託児所「携程親子園」の保育士3人が、同園の幼児を傷つけたなどの疑いで8日、警察に逮捕された。同園は9日から営業を停止している。逮捕された3人と園長は、すでに解雇されている。

 事件が起こったクラスは、2歳以下の幼児を預かっていた。同園はシートリップが自社社員のために開設し、「上海『現代家庭』雑誌社」読者サービス部に日常の管理・運営を委託していた。事件発生を受け、シートリップの人力資源管理部門が園を管理することになるという。

 上海『現代家庭』雑誌社読者サービス部は謝罪コメントを発表。二度とこのようなことが起こらないよう深く反省するとともに、真摯に社会の批判を受け止めると発表した。

 シートリップの社員は1万5000人以上おり、本社ビル内に設けられた「携程親子園」は大好評だったという。子どもを連れて出勤してビル内の託児所に預け、終業後午後6時30分までに子どもを迎えに行き一緒に連れて帰る。園内では昼食、2度のおやつと夕食が提供されていたという。

 しかし、保育士が幼児をたたく様子や、保護者が泣いて訴える様子が撮影された映像がインターネット上で広まり、世間が騒然となった。インターネット上には、身体的外傷以上に子どもの心にトラウマとして残らないか心配だという声もあった。事件が発覚してから、シートリップでは謝罪会見を開き、事件に関わった職員が保護者へ土下座をするなどした。

 上海市内では、託児施設が不足しているのは現実的な問題だ。特に若い夫婦にとっては、働きながら幼い子どもを育てることは、容易ではない。そうした背景から、上海市は託児施設の開設を推奨してきた。しかし、児童青少年問題を研究する上海社会科学院の包蕾萍(Bao Leiping)研究員は、今回の事件に関わった当事者を非難した上で「政府の関連部門は科学的で明確なルールや監督・管理措置を定め、託児施設の健全な発展を促し、市民の切迫した要求に応じるべきだ」と指摘する。また、「企業が社員のために積極的に託児施設を設けた姿勢は守られるべきだ。専門の託児機関へ指導を依頼をするなど、運営に協力すべきだ」とも話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News