【11月10日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)が新たに設置した人権諮問委員会は9日、2018年W杯(2018 World Cup)を開催するロシアの建設現場において、北朝鮮労働者が劣悪な環境で働かされているとの報道を強調した上で、労働状況に関する透明性の欠如を批判した。同委員会が発行した1回目の報告書では、建設作業が最終段階に入っている中で「労働者の権利が著しく損なわれている」と指摘されている。

 FIFAは今年5月、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)のスタジアム建設現場で北朝鮮労働者が働いている証拠があると認めていた。独裁政権の北朝鮮は海外に労働者を派遣して奴隷的な労働を強制していることで知られており、問題が発覚した際には警告を促す声が高まっていた。

 しかしながら、同委員会のパネルによると、問題の規模を正確に把握することは難しい上に、FIFAによる「監視システム」と大会組織委員会は、透明性の乏しさによってその役割が十分に果たせていないという。

 報告書の記載でも、「ロシア関連の情報はほとんど伝えられておらず、これらの労働者の人権が監視システムによって保たれているかどうかは、これまで公表されたものや定期的に出されている情報のレベルとは著しく異なっている」とされており、同委員会のメンバー8人は、「2018年W杯の関連施設で働いている可能性がある北朝鮮労働者」に関するさらなる情報を求めていると強調した。

 出稼ぎ労働者が置かれている虐待的な状況については、2022年大会を開催するカタールでも問題視されており、FIFAへの批判にもつながっている。一方、国連(UN)の国際労働機関(ILO)は8日、石油資源に恵まれたカタールでの労働者虐待疑惑について、同国の労働改革案によって問題への取り組みが行われているとして、調査を打ち切っている。(c)AFP