【11月10日 AFP】米国では、銃で撃たれて死亡する人の数が、1日平均24人強にも上っているが、この日々の大きな犠牲に関しては、テキサス(Texas)州で今月起きた銃乱射事件のようなものでない限り、あまり注目されることがない。銃による暴力をめぐっては、こうした知られざる側面がいくつも存在している。

 以下、米国での銃撃事件に関する5つの誤った認識を挙げてみる。

1. 銃が関係する殺人事件の発生件数は過去最高

 これは間違いだ。ロードアイランド(Rhode Island)州ブライアント大学(Bryant University)の社会学教授グレッグ・リー・カーター(Gregg Lee Carter)氏によると、「銃乱射事件の発生件数は大きく増加しているが、銃関連の殺人事件発生率は全国的に減少傾向にあり、25年前との比較では約半分」という。

「銃乱射事件」とは銃撃者を数えないで4人以上が死傷した事件を指す。統計によると米国では1日平均1件発生している。

2. 銃撃事件の犠牲者は無差別

 米国での銃乱射事件に関する報道では、犠牲者は無差別に殺され、銃撃者とはなんら関係がないと間違った印象を与える傾向がみられる。

 こうした印象をより強めている背景には、これら多くの犯罪行為が公共の場で発生しているということがある。ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で開催されたカントリー音楽のコンサートの会場やフロリダ(Florida)州のナイトクラブ、バージニア(Virginia)州の大学構内やコネティカット(Connecticut)州の小学校などがその例だ。

 だが、大半の銃乱射事件で犠牲者となっているのは、実行犯が恨みや不満といった感情を抱く特定の個人や組織である場合が大半との調査結果がこれまでに複数示されている。

3. 米国の銃による殺人事件では銃乱射が最多

 米国では、年間約1万2000件の銃による殺人事件が起きているが、その多くは銃乱射事件ではない。

 例えばカリフォルニア(California)州フレズノ(Fresno)では今月、教会から出てきた男女が銃で撃たれて死亡する事件が起きた。実行犯の男はこの女性の夫で、事件発生当時は別居していたという。殺された男性は女性の交際相手だった。2人を殺害した直後、男は自分に向け銃を発砲し、自殺した。

 このような複数の犠牲者が出る殺人事件は、日本やその他の国では大きなニュースとして取り扱われるだろう。しかし、他の先進国に比べて銃による死者数が平均25倍にも上る米国では、この手の事件はローカル扱いとなる場合が多く、全国向けに大きく報じられることは少ない。