【11月9日 AFP】昨年の米大統領選で、米南部アーカンソー(Arkansas)州の小さな町クリントン(Clinton)の住民たちがドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を支持した理由は人それぞれだが、中心にあるのは、ニューヨークの大富豪である同氏は、自分たちや、自分たちが属する層をないがしろにせず、不安に耳を傾けてくれるという考えだ。

 トランプ大統領の国内の支持率が歴史的な低迷をみせる一方で、共和党の同氏を支持した地盤はおおむね揺るがず、その政策を称賛している。

 トランプ氏が環境規制を緩和したことに胸をなで下ろしているのは、牧場経営者のダン・エオフ(Dan Eoff)さんだ。

 トランプ氏は大統領に就任して間もなく、前任者バラク・オバマ(Barack Obama)氏が導入した水路規制を撤廃。「毎日、牛を連れてトラックでも川を渡る。政府が監視しているということを心配することもなくなった」と、エオフさんは言う。

 同じく、畜牛を飼育しているマイク・フォックス(Mike Fox)さんは、「牛肉業界関係者のために状況を改善してくれた」とトランプ大統領を評価する。「経済は上向きだし、牛肉を食べる人も増えている」

 アーカンソー州は、ウェストバージニア(West Virginia)州やミシシッピ(Mississippi)州と並んで、米国で最も貧しい州の一つ。だだっ広い1本の道路沿いに広がる人口2600人の小さな町クリントンで雇用を生んでいるのは、主に学校や地元の病院だ。

 毎年恒例のチャックワゴン(ほろ馬車)レースを企画しているエオフさんの妻、ペギー(Peggy Eoff)さんは、「この町の人間は働きに出なきゃいけないし、ワシントンで行われていることには皆うんざりしてる。(ワシントンの人間は)私たちのことを、ものを知らないばかで取るに足りない人間だと思っているし、米国中の小さな町をみくびっていたんだから」と話した。

 エオフさんたちにとって、トランプ氏の不適切な発言は正直さの証しであり、医療制度改革が行き詰まっているのは議会のせいなのだ。