【11月12日 CNS】カナダで行われていた2017年卓球女子W杯が10月29日、幕を下ろした。中国代表の朱雨玲(Zhu Yuling)が劉詩ウェン(Liu Shiwen)に逆転勝利し、初優勝を飾った。女子世界ランキングでも1位となった。

 まだ22歳の朱は2011年から中国代表チームで特訓を重ね、2014年に東京で開催された世界卓球選手権(World Table Tennis Championships)で団体で優勝したが、シングルスで頭角を現し始めたのはここ数年のことである。

 ドイツ・デュッセルドルフ(Duesseldorf)で行われた今年の世界卓球選手権では決勝戦で丁寧(Ding Ning)に2-4で下され、準優勝だった。試合後のインタビューで、さらにトレーニングを積んで上を目指したいと話していた。

 2017年のアジアカップで劉を抑えて初優勝し、李隼(Li Sun)コーチが「飛行機が滑走路に出てきた」と表現したように、朱自身でもコツをつかんだ様子で、「これまではちゃんと打てなかったらどうしようなどと毎回ビクビクして優柔不断な試合をしていたが、今はどの試合に対しても自信を持って毅然(きぜん)とした態度で臨めるようになった」と話していた。

 今回のW杯はけがで不参加の丁に代わり、アジア選手権優勝の朱とW杯4優勝の劉が選ばれた。しかし1週間前に行われた男子の試合では中国がドイツに破れ、女子も今回のW杯は警戒して臨んだ。

 朱は順調に準決勝まで勝ち進み、4-0で台湾の鄭怡静(I-Ching Cheng)を下し、決勝で劉と優勝を争った結果、栄冠を手にした。

 W杯で4度優勝している劉とは、今大会以前の国際大会で18試合対戦。朱は6勝12敗で劣勢だったが、劉との戦い方を改めてから今年に入ってすでに2勝していた。

 試合後のインタビューで朱は、今回の優勝はうれしいが、安心してはいられない。2020年の東京五輪に向けて引き続き気を引き締めていきたい、と語った。

 「安心できない」という言葉には、国内外の女子卓球選手の強い人材がたくさんおり、国内でも上には先輩の丁寧が万全の状態で控えているし、劉も十分な競争力を蓄え東京五輪でメダルを狙っている。

 東京五輪までの3年間、現在の状態を保ちながら東京へのチケットを勝ち取るのかが、朱とコーチの目標となるだろう。リオ五輪への切符を惜しくも逃したこともあり、次回の東京五輪でも同じ思いはしたくないであろう。

 今大会で中国女子卓球の最大のライバルと言われていた日本勢の石川佳純(Kasumi Ishikawa)と平野美宇(Miu Hirano)は、メダルを逃した。石川は第3シードで香港(Hong Kong)の李皓晴(Ho Ching Lee)に3-4で破れベスト8入りを逃し、平野は第4シードの準決勝で劉に0-4で完敗した。

 しかし、日本女子トップの石川の実力は確実に上がっており無視できない。しかも、まだ17歳という平野は前回W杯で中国選手が参加していなかったとはいえ優勝しており、さらに今年4月に中国で行われたアジア選手権では丁、朱、陳梦(Chen Meng)の3主力選手から優勝を勝ち取り、強烈な爆発力を備えている。今後長きにわたり、石川と平野は中国女子卓球が無視できないライバルとなることだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News