【11月8日 AFP】ロシア・モスクワ(Moscow)にある研究施設で17日間の有人月飛行を想定したシミュレーション実験が始まり、被験者の男性3人と女性3人が7日、模擬宇宙船施設内に入った。これは、将来の長期ミッションに向けた準備の一環だという。

 今回の実験は、科学研究の国際計画「SIRIUS」の下で実施される閉鎖空間実験の初回。計画では、実験期間を今後5年間で段階的に365日にまで延長する予定だ。

 ロシア科学アカデミー生物医学研究所(IBMP)が米航空宇宙局(NASA)と共同で進めるこの実験計画は、月まで飛行して周囲を1周し、地球に帰還するために必要な条件を再現する。

 実験計画を指揮するオレグ・オルロフ(Oleg Orlov)氏によると、計画は大気圏外航空機の開発と並行して進められる見通しという。

 AFPの取材にオルロフ氏は、「おそらく2020年台半ばまでには実際の飛行のための準備が整う見込みだ」と語り、また実験の目的の一つは、長期にわたる宇宙ミッションに最も適した性比を調べることだと明らかにした。

 乗組員の大半は、訓練を受けたロシアの研究者や宇宙飛行士。唯一の外国人としてドイツ人が1人参加している。

 SIRIUS計画の心理学者、ワジム・グシチン(Vadim Gushchin)氏によると、宇宙船の乗組員に女性が2人以上含まれるのは、ロシアないし旧ソビエト連邦(Soviet Union)の歴史の中で今回が初めてだという。

 チームは自分たちの任務を完了するためにはどのようなことでもすると約束した上で、容積250立方メートルのモジュール内に閉じ込められた。今回の実験では、閉鎖空間に置かれることの精神的・身体的影響を調査する。

 チームを率いるマーク・セロフ(Mark Serov)氏は「任務のすべてを完了できると確信している」と意気込みを述べ、施設内に入っていった。

 ロシアはこれまでに、地上での閉鎖空間実験を何度も行っている。1967年には、容積24立方メートルの金属製の箱に男性3人を1年間閉じ込める閉鎖実験が行われた。

 また、2011年11月に終了した長期地上実験では、火星までの飛行を想定し、さまざまな国籍の男性被験者6人が外部から隔絶されたモジュール内で520日間を過ごした。(c)AFP