【11月7日 AFP】仏ペリゴール(Perigord)地方を原産とする黒トリュフを英国内で初めて栽培に成功したとの画期的な研究結果が6日、発表された。気候変動を背景に、黒トリュフが新たな英国の作物となる可能性もあるという。

 重さ16グラムの黒トリュフ標本は、英ウェールズ(Wales)地方で地中海(Mediterranean Sea)地域原産のオークの木の根にトリュフの胞子を接種して栽培されたものだ。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)と英マイコリザル・システムズ(MSL)社の研究チームによると、周囲の土壌の酸性度を低下させるために土壌に石灰を混ぜたという。

 黒トリュフは現在、主産地のフランスの他にイタリアやスペインでも採れる。しかし、MSLによると、地中海地域にある黒トリュフの従来の生育地では長期の気候変動に起因する干ばつの影響を受け、収穫量が落ち込んでいるという。

 英国の栽培地についてケンブリッジ大は「これまでこの種のトリュフが見つかった中で最北端だ」としている。MSLのポール・トーマス(Paul Thomas)氏は「英国での栽培は、トリュフが耐えられる気候の範囲がこれまで考えられていたよりはるかに広いことを示すものだが、恐らくは気候変動のよって可能になっただけだ」と指摘した。

 トーマス氏はまた、「英国の一部の地域は現在、この種のトリュフの栽培に適した状態になっている」「産業としての可能性は非常に大きい」と話す。ペリゴール黒トリュフは、英国で1キロ1700ポンド(約25万円)で取引される可能性がある。

 今回の黒トリュフは3月に回収されたもので、特別な訓練を積んだ犬「ベラ」が嗅ぎ当てた。これは標本として保存される予定だが、今後回収されるものについては、すべて農場経営主がレストランなどに販売することができる。

 研究結果は科学誌クライメート・リサーチ(Climate Research)に発表された。(c)AFP