【11月7日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦し、今季はすでに通算4度目の世界王者になることが確定しているメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が、自身のプライベートジェット機に関して周到な計画の下に脱税をはたらいたとして、英税務当局の調査対象になっていることが判明した。

 英BBCや英紙ガーディアン(Guardian)の報道によると、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した通称「パラダイス文書(Paradise Papers)」で6日に新たに明らかになった内容では、ハミルトンが税率の低い英王室属領のマン島(Isle of Man)に豪華ジェット機を輸入し、2013年に330万ポンド(約4億9000万円)の付加価値税(VAT)還付を受けていたとされている。

 コンサルティング大手のEY(アーンスト・アンド・ヤング)やバミューダ諸島などに拠点を置く法律事務所「アップルビー(Appleby)」から流出したものを中心とした文書によると、会社が架空のリース業務を仕立ててハミルトンら多くの顧客が多額のVAT還付を受け取れるよう手助けをしていたことが発覚した。これらの周到な手続きでは、各個人が所有しているジェット機で賃貸業が行われていたとされており、個人使用では還付が禁じられている欧州税制に抵触する可能性がある。

 ハミルトンの代理人はAFPの取材に応じておらず、弁護士はBBCのインタビューで、税務局の再調査では業務内容は合法であり、還付金は手続きを踏んで支払われていると強調。また、同選手が計画に直接関与したことを示すものは何もなく、専門家の指示に従っただけとされている。

 スポーツ界で最も稼いでいる選手の一人であるハミルトンは、1650万ポンド(約24億7000万円)でプライベートジェット「ボンバルディア・チャレンジャー(Bombardier Challenger)605」を購入し、休日やプライベート旅行で使用している写真を頻繁にソーシャルメディアにも投稿している。

 欧州の税制では企業や個人が航空機を購入した際には20パーセントのVATが科されることになっており、営業用に限って還付申告が可能となっている。(c)AFP