【11月4日 AFP】メキシコで、犯罪組織の幹部の男が顔を変え、指紋を消す整形手術を受けている最中に手術台の上で殺害されていたことが明らかになった。プエブラ(Puebla)州当局が発表した。

 プエブラ州検察当局によれば、先月30日午後、「エル・カリンバ(El Kalimba)」の通称で知られるヘスース・マルティン(Jesus Martin)容疑者が整形手術を受けていた病院に武装した男らが乱入。マルティン容疑者の他に3人を殺害したという。

 マルティン容疑者は、パイプラインから違法にガソリンやディーゼル燃料を抜き取る窃盗団のリーダー格として当局に指名手配されていた。こうした窃盗は危険を伴うが利益をもたらすビジネスとして、メキシコでは麻薬取引に次ぐ大規模な組織犯罪になっている。

 検察当局は声明で、事件に関わっていたとして医療関係者についても捜査を進めていることを明らかにした。

 この日プエブラでは、銃撃に巻き込まれたとみられる通行人3人などを含め計12人が殺害されており、捜査当局は、マルティン容疑者の窃盗団の内部抗争によるものとみている。

 検察当局は、襲撃を命じたのは、窃盗団でマルティン容疑者と同レベルの幹部で「エル・アービング(El Irving)」の通称で知られる人物とみられると明かした。

 プエブラはガソリン等の窃盗犯罪の中心地とされ、メキシコ石油公社(ぺメックス、Pemex)はその被害額を、2010年以降で24億ドル(約2700億円)と推計している。(c)AFP