【11月4日 AFP】ブラジルの最大都市サンパウロで3日間にわたって行われた「第2回世界肝炎サミット(World Hepatitis Summit)」最終日に当たる3日、専門家らは予防措置の改善と肝炎を患っている未成年者5200万人の治療の改善を訴えた。

 同サミットで公表されたデータによると、世界の肝炎患者は確認されているだけで3億2500万人に上るが、このうち5200万人が未成年者で、AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)にかかっている青少年の数210万人を大きく上回っている。

 世界肝炎同盟(World Hepatitis Alliance)のラケル・ペック(Raquel Peck)最高経営責任者(CEO)は声明で、「乳幼児や子どもの肝炎患者のほとんどは診断を受けておらず、優先事項として重視されることも、効果的な治療も受けていない」と述べた。

 世界保健機関(WHO)によると、肝炎は主にウイルスによって引き起こされる肝臓の炎症で、肝炎ウイルスには5種類あり、B型肝炎とC型肝炎は肝臓がんの新たな発症例の原因の半分以上を占めている。

 B型肝炎患者の未成年者は世界中に4800万人いるが、そのほとんどは母子感染だ。しかし専門家らは、ワクチンが存在しないC型肝炎と診断される患者の数が増加している点に注目し、予防措置が取られていないことに対する懸念を表明した。

 肝炎による年間死者数は130万人に及んでいるが、昨年、WHO加盟194か国は2030年までにウイルス性肝炎を根絶する措置を推し進めることで合意した。しかし、今月1日に公開された資料によると、現在この合意を守っている国はわずか9か国にとどまっている。(c)AFP