【11月3日 AFP】7月に終結したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」からのイラク北部モスル(Mosul)奪還作戦をめぐり、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2日、9か月にわたる作戦のさなかにISが民間人741人を「処刑」したとする報告書を公表した。「国際犯罪」に当たるとしてISを非難している。

 報告書によると、モスルでは国際的な支援を受けたイラク治安部隊(ISF)とISの戦いの間に2521人の民間人が殺害された。その大半がISによるものだった。

 ゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官は声明の中で「凶悪な犯罪に関与した者には責任を取らせなくてはならない」と厳しく批判した。

 モスル奪還後、OHCHRは「民間人の集団拉致、多数の人の『人間の盾』化、民間人の住居に対する意図的な砲撃、モスルから逃げようとする民間人を標的とした無差別攻撃」を裏づける目的証言を集めてきた。

 同報告書によると、モスル奪還作戦では家を追われた人も80万人余りに達した。

 OHCHRは「モスルでの『国際犯罪』に関与した者をイラク当局が起訴すれば、被害を受けた国民にメッセージを送ることになるはずだ」と指摘。一方で、ISFや政府側民兵などによる違反行為の疑惑についても捜査を求めている。

 イラク第2の都市モスルは2014年にISに占拠され、ISの「カリフ制国家」のイラクにおける首都の役割を果たしていた。(c)AFP