【11月3日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問兼外相が2日、軍の作戦を受けてイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が大量に隣国バングラデシュに避難したラカイン(Rakhine)州北部を初めて視察した。一方、米国務省は同日、レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が来週、ミャンマーを訪問すると発表した。同州での「人道危機」をめぐってミャンマー側と協議する予定。

 ラカイン州の州都シットウェ(Sittwe)に入った後、軍事作戦の中心地となった同州のマコンドー(Muangdaw)とブティダウン(Buthiduang)を訪問した。

 しかし、軍によって放火されたロヒンギャの数百の村の一部を視察したかどうかは不明。

 ミャンマー西部にあるラカイン州では、8月末に武装集団が治安部隊を襲撃したことへの報復として軍が激しい掃討作戦を展開。これを受けて、これまでに60万人に上るロヒンギャがバングラデシュに避難している。避難民らは軍が殺人やレイプ、放火を行ったと証言している。

 ミャンマーの民主化運動を指導し、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)も受賞しているスー・チー氏に対しては、道徳的な権威があるのにロヒンギャの権利擁護のために声を上げていないとして国際社会から批判されている。スー・チー氏は、ラカイン州の再建とロヒンギャの帰還に関する委員会のトップも務めている。

 スー・チー氏がラカイン州北部を訪れたのは国家顧問に就任してからは初めて。

 ティラーソン国務長官の報道官によると、長官は15日にミャンマーを訪問する。ロヒンギャ危機が始まってから、同国を訪れる米政府当局者としては最高位となる。(c)AFP