【11月6日 東方新報】マクドナルド(McDonald's)(中国)は10月12日、社名を「金拱門(訳:金のアーチ)」に変更した。

 マクドナルド中国は、名称変更は主に行政的な手続き上のことであり、従来業務への影響はまったく無く、店舗そのものの名称やロゴ、食品安全基準、運営の流れなども変更しない、とコメントしている。

 改名の背景は、経営権が交替したことだ。今年1月、中国・中信股份(CITIC)、同グループの中信資本(CITIC Capital Holdings)と米国カーライル・グループ(Carlyle Group)が、マクドナルドの中国大陸と香港(Hong Kong)における業務について、20年間の特許経営権を買い取ったことによる。総額は20億8000万ドル(約2370億円)とされる。このうち、中信股份と中信資本が新会社の52%の株を所有し、カーライルとマクドナルド(中国)がそれぞれ28%、20%の株を所有する。

 マクドナルドは今年8月8日、中信股份、中信資本、カーライルグループとの戦略契約を締結し、受け渡しに伴う手続きが完了したことを発表していた。正式に中信グループがマクドナルド中国に代わる新しいあるじになることを意味しており、「金拱門」と名称変更したこともマクドナルドの大陸と香港業務の引き継ぎを主導で進めていくことにある。

 財力と勢いのある中信グループが新たなあるじとなり、中国のマクドナルドは大規模な新店舗拡大を展開していくことになる。「米国を除けば中国は近い将来、最大の市場になるだろう」。マクドナルドのスティーブ ・イースターブルック(Steve Easterbrook)社長兼最高経営責任者(CEO)はこう語り、マクドナルドも新会社の株式と取締役会を通じて積極的に参画し、継続的に中国市場拡大を進めていくことになる。

 中国のマクドナルドは、名称変更前からすでに「現地化」のためのテストを数多く実施していた。新鮮さを求める中国消費者のニーズに合わせるため、また消費者を引き付けるため、全国で設備施設のデジタル化や個人の好みに応じた商品、顧客本位のサービスを一本化した「未来2.0」店舗戦略を2016年に開始している。これにより、消費者はタッチパネルで商品を注文でき、飲み物の氷の有無やハンバーガーの味付、肉類の調整といった商品に対する細かい注文も自由にリクエストできるようになる。

 こうした一連の調整はすべて、もう一度中国消費者の心をつかむことにある。「以前は商品を注文するのに列に並ぶことでお客様にストレスを与えていたが、私たちが提供する独自な商品やお客様本位のサービスは消費者に自由を体験してもらい、すべては消費者によって決められる、というものにしたいのです」と、マクドナルド(中国)の張家茵(Zhang Jiajun)CEOは語る。

 2016年の一部店舗でのテスト実施以降、マクドナルドはこうした新しい施策を迅速に多店舗へも応用している。今年末までには、全国で1600近い店舗が「未来2.0」戦略に伴うアップグレードを完成するとみられており、専門家の分析でも、同戦略は「表面上は単にレストランの環境やハンバーガーを変えただけかもしれないが、本質的には若い人たちの生活スタイルや個性的なニーズに合わせている」と指摘する。

 中国のマクドナルドからみれば、中国市場の最大のチャンスは地方都市にある。中信とカーライルとで組織した金融グループがマクドナルド中国の運営に携わるようになって以降、すぐに中国の地方都市への展開を図った。マクドナルド中国の計画としては、今後5年で毎年二けたの販売成長率を実現させ、中国大陸の店舗を2500店舗から4500店舗まで増やし、新規オープン店の大部分を地方都市に集中させたい考えだ。「現時点で約35%のマクドナルドの店舗が地方都市にあるが、今後5年でその比率を45%までに伸ばしたい。地方都市の中所得層が増加しているためだ」。マクドナルド中国の広報担当・徐穎テイ(Xu Yingting)氏は言う。

 社名を「現地化」した以外に、メニューやデリバリーサービスにも「現地化」を実現させる。徐氏は、「今後5年で75%以上の店舗からのデリバリーサービスを提供できるようにしたい。これも中国のデリバリーブームにあわせてのことです」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News