静安区一中心小学校の張敏(Zhang Min)校長は、校内で行った「子どもをどう育てるべきか」という調査で撮影した動画を紹介。動画はまず、子どもへのインタビューから始まった。多くの児童は「あまりたくさん習い事をさせないでほしい」「お母さんにもっと優しくしてほしい」などと答えていた。続いて流れた保護者へのインタビューでは、多くの保護者が得意げに「うちの子は習い事を六つもしている」「私は子どもに優しくしている」と答えていた。中には「他の子は六つも習い事をしているのに、うちの子はたった五つ。スタートラインからすでに負けている」という保護者もいた。

 しかしスタートラインから負けているとすれば、それは勉強に限ったことではないと張校長は語る。静安一中心小学校は2017年7月、4、5年生の児童を日本へ友好学校との交流に連れて行った。6人の教師と30人の児童で5日間の旅程。帰国後、教師たちが報告したところによると、「5日間、物を探しどおしだった。ある子は物をどこかに落としたと言い、別の子はパスポートを無くしたと騒ぎ、また別の子は土産物を買いに行って、そのままお土産が『落し物』になってしまった」。教師たちは嘆いていたという。「自分の持ち物を自己管理できないのは、家庭での教育に問題があるのではないですか?」。張校長は話した。

 上海の有名私立校、包玉剛学校(YK Pao School)の呉子健(Wu Zijian)校長は校内で起こった小さな出来事を話した。

 ある時、清掃員が1年生のトイレから物音が聞こえたので確認しに行くと、児童がトイレのタンクを叩いていた。児童は「水が流れる秘密が知りたい」と言ったという。この児童の両親から、家でよく父親の腕時計を分解して遊んでいると聞き、教師はこの児童が手を動かすことや研究が好きな子どもであると考え、「科技創新」の活動に参加させ、もっと手を動かす機会を与えた。この児童は後日、香港で行われたレゴブロックのコンテストで優勝したという。

 また、学校の公式ホームページがハッカーに攻撃された際、調査の結果、校内の生徒が保健室のパソコンから校内のインターネットの安全性に挑戦するためにハッキングしたことがわかった。その生徒は小学生の頃から、自分で部品から組み立てるほどパソコン好きだったことがわかった。ハッキングしたことについては注意したが、学校側はこの学生を上海科学技術協会(Shanghai Association for Science and Technology)の少年科でさらに知識を深めるようすすめた。この生徒は後日、視覚障害者のための携帯電話を発明し、上海科学技術進歩の一等賞を授賞した。呉校長は「子どもへの教育や手助けは、言葉だけでなく実際に行動に移すことが必要。子どもたちに好きなことをさせるチャンスを与え、それにとことん付き合うことが大切だ」と話した。(c)東方新報/AFPBB News