【11月3日 AFP】今から60年前の1957年11月3日、旧ソ連の人工衛星「スプートニク2号(Sputnik 2)」に乗せられ打ち上げられた雑種の犬「ライカ(Laika)」は、地球軌道に到達した初めての地球の生物となった。

 ライカの打ち上げは、同年10月の世界初の人工衛星「スプートニク1号(Sputnik 1)」の打ち上げに続き行われた。当時ライカの世話を担当していた生物学者のアドリア・コトフスカヤ(Adilya Kotovskaya)氏(90)は、ライカに別れを告げた日を振り返り「私たちを許してと話しかけ、最後にライカをなでながら涙を流した」と語った。

 それから60年がたつ今も、もっと小型ではあるが、宇宙へ動物たちが送られている。

 国際宇宙ステーション(ISS)計画の主任研究員、ジュリー・ロビンソン(Julie Robinson)氏は、宇宙に打ち上げられた動物たちから私たちがいまだに何を学んでいるのかを説明してくれた。

■今はイヌやネコ、サルは打ち上げていない?

 こうした動物を宇宙へ送っていた当時は、哺乳類全般は無重力状態では生存できないのではないか、あるいは人間は窒息してしまうのではないか、といった不安があった。今日、生物を宇宙へ送る目的は生物医学的な研究で、多数の小動物を送っている。

■今はどんな生物が打ち上げられているのか?

 地球上での研究と同様で、一般的なのはマウス、ミバエ、魚類といった小型の動物だ。宇宙で行うどんな実験でも宇宙飛行士には特別な訓練が必要で、動物実験についても、生息環境をどう整えるか、どのように実験を実施するかといったことを飛行士たちは理解しておく必要がある。

■宇宙での動物実験から何が分かるのか?

 宇宙でネズミを使って行われている実験は、地上でのマウス実験とよく似ており、その目的は主に人間の健康とその改善を目指すものだ。例えば、骨粗しょう症や筋力低下の治療などだ。

 宇宙空間では、こうした動物たちも人間と同じように浮遊する。そして運動をしなければ骨量は減少する。筋肉についても、あまり使わないので同じことが言える。マウスではこうした症状が非常に速く進行する。これは骨量の減少やその他の加齢による症状の治療法開発に役立つ可能性がある。

 概して宇宙での研究には二つの目的があるという。一つは将来、人類が地球軌道外で探査を行う場合のリスクを軽減するということ。その一方で同氏は、(宇宙で)骨量や筋肉量が減少する過程の多くは、私たちが歳をとるにつれて起きているものと同様だとし、宇宙での実験で地球上にも成果をもたらしたいと語った。(c)AFP