【10月31日 AFP】ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)が新型車両に「アンネの日記(The Diary of a Young Girl)」で知られるユダヤ人少女、アンネ・フランク(Anne Frank)の名を冠する計画を発表したところ、鉄道で収容所に移送された経験を持つ人々に「新たな苦痛をもたらす」などと非難の矢面に立たされている。

 ドイツ鉄道は、高速列車「ICE」の新型車両の名前を公募。1万9000件の応募があり、最終候補に残った25件の中から歴史家2人を含む審査団が選んだのが「アンネ・フランク」だった。

 しかしオランダ・アムステルダム(Amsterdam)のアンネ・フランク財団(Anne Frank Foundation)は30日、「アンネ・フランクと列車の組み合わせは、第2次世界大戦(World War II)時の(ナチス・ドイツ、Naziによる)ユダヤ人迫害や収容所送りを想起させる」とし、ネーミングは不適切だと批判する声明を出した。

 ドイツ鉄道は「アンネ・フランクの記憶を損ねる意図はまったくない」と釈明したうえで、「人々の心情を傷つけたのならば深くお詫びする」と謝罪した。今後、ユダヤ人団体の意見も参考にして社内で改めて検討する方針という。

 公募で寄せられた名前には「アンネ・フランク」のほかに、西ドイツの首相を務めた故コンラート・アデナウアー(Konrad Adenauer)氏、反ナチスの学生運動を率いたハンス・ショル(Hans Scholl)とゾフィー・ショル(Sophie Scholl)兄妹などの名もあったという。(c)AFP