【10月31日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の元王者デイモン・ヒル(Damon Hill)氏は30日、今季の第18戦メキシコGP(Mexican Grand Prix 2017)でキャリア4度目の総合優勝を果たしたメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)について、「最も偉大なドライバーの一人」と称賛した。

 現在32歳のハミルトンは、29日に行われた決勝レースの1周目にタイトルを争っていたフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)とクラッシュする想定外のアクシデントに見舞われたものの、最終的には9位でフィニッシュして世界王者になった。

 ハミルトンはジャッキー・スチュワート(Jackie Stewart)氏を上回り、英国人ドライバーによる総合優勝の最多回数を更新したほか、4度のドライバーズタイトル獲得でベッテル、そしてアラン・プロスト(Alain Prost)氏に並んだ。歴代1位は通算7回のミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏で、2位には通算5回のファン・マヌエル・ファンジオ(Juan-Manuel Fangio)氏が続いている。

 1996年にウィリアムズ(Williams)で年間タイトルを獲得したヒル氏は、英紙タイムズ(The Times)に対し、「ルイス・ハミルトンは、F1史上最も偉大で最も才能に恵まれているドライバーの一人であることは間違いない」とすると、同選手に匹敵する「ドライバーはほとんどいない」と述べた。

「通算3度とか複数回の世界王者は何人かいる。2度の総合優勝を果たしている私の父(グラハム・ヒル〈Graham Hill〉氏)もそうだ。しかし、私が思いつくのは、ファン・マヌエル・ファンジオ、ミハエル・シューマッハ、アイルトン・セナ(Ayrton Senna)、アラン・プロストの名前だ」

 その一方でヒル氏は、偉業を成し遂げたとはいえハミルトンが英国史上最高のドライバーであると明言することは控え、「過去のレース状況は、現在に当てはまらないと言わざるを得ない。現代はシーズンごとにレース回数が増えていて、安全性も保たれ、ドライバーのキャリアも長くなっている。過去と比べてマシンの信頼性も高いので、数字で比べることはできない」と語った。

「現代のレースを50年代、60年代、70年代、そして80年代と比較した場合、それが同等であるとは言えないないからだ。そのため、彼を史上最高のドライバーと称することについては少し慎重にならざるをえない」

 ヒル氏はまた、ハミルトンが成功した理由の一つは、F1を離れた私生活にあると指摘しており、「彼は仕事と私生活のバランスが取れている。F1以外の生活を確立しているからこそ、彼はこのスポーツで自分の仕事を果たし、疲弊することがないんだ」と述べた。

「しかし、それだけではない。彼は繊細な気性の持ち主だ。重量級のスラッガーというわけではなく、気分の良いときに自分の才能を発揮できるタイプだね。コンディションがあまり良くなければ、その影響が出てしまう。彼が不利な状況であると予想したり感じたりしているときは、ごらんの通りよく苦戦している様子がみられる」(c)AFP