米国ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)ウェブサイトの報道によると、中国国内で稼働する自動車メーカーの多くは、中国政府の政策に影響を受け、電気自動車などの生産に力を入れていくだろうとしている。報道によると、中国政府は9月、国内外の自動車メーカーに対し、2019年までに必ず新エネルギー車の生産を開始するよう求めている。政府は25年までに、電動自動車を年間自動車総販売台数の5分の1に相当する700万台販売する、とアピールしたい考えだ。

 中国国務院発展研究センターの周(Zhou Hongchun)研究員はCNSの取材に対し、「ガソリン車の生産・販売停止に重要なポイントは3点かある。1点目は、電動自動車の総生産量がガソリン車へ取って代わるものになるかどうか。2点目は、電動自動車のサポート設備が完全に整うかどうか。3点目は環境基準の実施状況で、「将来的に環境に対する要求がだんだん高くなっていけば、電気自動車がガソリン自動車へ取って代わる流れが加速していくだろう」と述べる。

 中国汽車工業協会が国内外向けに発表した統計によると、2016年の中国国内の自動車生産台数は2811万9000台で、販売台数は2802万8000台。このうち、新エネルギー車の生産量は51万7000台、販売台数は50万7000台だった。新エネルギー車の生産量は、全体の約1.8%を占めている。

 EVスタンドに関しては、中国工業情報化部の統計によると、今年の4月までに国内の公共の場所に配置された設備総数は17万1000か所。このうち設置数が1万を超える地域は、広東省(Guangdong)、北京市(Beijing)、江蘇省(Jiangsu)と上海市(Shanghai)の4省・市。

「現時点で、EVスタンドの設備は依然として、車の発展速度に適応していない」。中国電動自動車百人会・欧陽明高(Ouyang Minggao)副理事長は、EVスタンドの設置する場所にも不適切な例が見られることを紹介。充電したい車がEVスポットを見つけづらいという点と、急速充電といった関連設備が車の発展に追いついていない点を指摘する。一部の既存EVスポットの利用率があまり高いとは言えず、また、充電技術に求められる技術水準がどんどん高くなってきているためだ。

 こうしたことから、中国国務院発展研究センターの周研究員は、ガソリン車の生産・販売停止を中国で短期間に実現することは難しいだろうとみている。「中国人の収入や自動車の所有台数など国外との差もあるので、時期的な問題については単純に比較できない。技術進歩の観点からみれば、新エネルギー車へ取って代わる速度は加速されるかもしれないが、中国の国土面積や人口から考えるとまだある程度の時間がかかるだろう」としている。

 さらに周研究員は「ガソリン車の使用に慣れてしまってる人がいるし、もし購入した車が排ガスの排出基準内ものであるなどの場合、完全に廃止するには政府からの優遇制度を出すことも不可欠になり、時間も必要とされる。たとえ生産と販売が停止されても市場の表面上ではガソリン車はまだある一定期間までは存在するだろう」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News