【10月30日 AFP】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が隣国バングラデシュに大量流入している問題で、バングラデシュ当局は過密状態にある難民キャンプへの対応策として、任意で精管切除(パイプカット)を含む不妊手術の実施を検討している。

 多くの難民キャンプを抱える南東部コックスバザール(Cox's Bazar)県の家族計画局によると、人口増加抑制のために難民キャンプで避妊の方法を助言したり、コンドームや避妊薬(ピル)を配布したりする活動を行っているが、ロヒンギャは避妊に対する知識がほとんどなく、効果もなかったという。

 今年8月にミャンマー政府軍がロヒンギャ武装勢力の制圧に乗り出して以降、60万人以上のロヒンギャがバングラデシュへと脱出。難民キャンプでは物資不足の状況が続いており、当局は人口増加が続けばさらなる危機へと発展する恐れがあると警戒している。

 家族計画局の幹部によるとロヒンギャは往々にして大家族で暮らしており、中には子どもが19人いる家族や、一夫多妻の家族もあるという。難民キャンプに派遣された当局の職員が避妊を推奨する活動を開始し、コンドーム549箱を配布したが、ロヒンギャは使用をためらっているという。

 さらにこの幹部がAFPに明らかにしたところによると、家族計画局が任意でロヒンギャに精管切除(パイプカット)や卵管切除の手術を実施できるよう、政府に対して承認を求めたという。

 しかし、多くのロヒンギャ難民は家族が多くいれば暮らし向きが楽になると考えていたり、イスラム教の教義に反するとして避妊自体に否定的な考えを示したりしているという。(c)AFP/Shafiqul ALAM