【10月29日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)の大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏(65)に多数の女優に対するセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や性的暴行の疑惑が浮上している問題で、また新たに米女優が同氏からレイプされたと名乗りでた。

 この女優は米人気ドラマシリーズ『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア(The Spranos)』でエミー賞にノミネートされたこともあるアナベラ・シオラ(Annabella Sciorra)さん(57)。シオラさんはワインスタイン氏とのおぞましい経験を米誌ニューヨーカー(New Yorker)に語った。

 1990年代初めごろのある日、シオラさんが住んでいたアパートにワインスタイン氏が押しかけてきた。「まるでそこが自分の家であるかのようにシャツのボタンを外し始めた」「彼の意図は明白だった」

 シオラさんはワインスタイン氏に出て行ってと言ったが、ベッドに押し倒されて馬乗りになられ、抵抗したもののワインスタイン氏に力づくでレイプされた。さらにワインスタイン氏はオーラルセックスも求めてきた。

 当時のシオラさんは自分を恥じ、ひどいうつ状態に陥って数年間は仕事ができなくなった。

 赤裸々なレイプ被害体験について、シオラさんがこれまで口を閉ざしてきたのは、仕事に不利な影響が及ぶことを恐れていたためだ。

 シオラさんが女優の仕事を再開した後も、ワインスタイン氏は数年間にわたってシオラさんへのセクハラを続けてきたという。

■『キル・ビル』出演女優にもセクハラ 

 ワインスタイン氏がプロデュースした映画『キル・ビル(Kill Bill: Volume 1)』に出演した女優ダリル・ハンナ(Daryl Hannah)さんも、ワインスタイン氏に性的暴行を受けそうになった体験があるという。

 ハンナさんが宿泊していたホテルの部屋にワインスタイン氏が「怒れる雄牛」のように押しかけてきたことがあった。ハンナさんは男性のメークアップアーティストと一緒にいたため、その場は免れられたが、その後もワインスタイン氏は胸を触らせろなどと言ってきた。ハンナさんは拒絶したが、すぐに映画の仕事にしわ寄せが及ぶことになったという。

 こうした出来事について、ハンナさんは『キル・ビル』シリーズの監督でワインスタイン氏と数十年にわたり密接に働いてきたクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)氏ら映画界の有力者たちに相談したが相手にされなかった。「私たち(女優)は信じてもらえない。それどころか、とがめられ、批判され、責められるんです」

 これまでにグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さん、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さん、ミラ・ソルヴィノ(Mira Sorvino)さんら50人を超える女優たちがワインスタイン氏から性的暴行やセクハラを受けたと告白している。(c)AFP