【10月28日 AFP】米大リーグ(MLB)、ロサンゼルス・ドジャース(Los Angeles Dodgers)のダルビッシュ有(Yu Darvish)は、27日に行われたワールドシリーズ第3戦で人種差別的行為をとったヒューストン・アストロズ(Houston Astros)のユリエスキ・グリエル(Yuli Gurriel)が、罰せられるべきだと報道陣に対して語った。

 テレビカメラは、グリエルがアストロズのベンチ内で目尻を指で引っ張っている様子を映しだした。

 ダルビッシュは通訳を通じて、「ああいった行為は、全世界の人々を冒とくするもの。アストロズにもアジア人のファンがいるはず」とコメントした。

 2014年には日本プロ野球(NPB)の横浜DeNAベイスターズ(Yokohama DeNA BayStars)でプレーしたキューバ出身のグリエルは、2回にダルビッシュからソロ本塁打を放ち、この回4点を挙げたアストロズの猛攻の口火を切った。ダルビッシュは、自己最短となる1回3分の2でマウンドを降りている。

 しかしながら、試合後のダルビッシュは自身のふがいない結果以上に、グリエルのジェスチャーに懸念を示した。

 ダルビッシュは、「彼は間違いを犯した。そこから学ぶでしょう。僕らは人間ですから」と語った。

 またダルビッシュは、ツイッター(Twitter)のアカウントに英文の声明を発表し、人々にグリエルの行為から学んでもらいたいとの思いを示した。

「完全な人間はいない。あなたも僕もそうだ。彼がきょうやったことは正しいことではないけれど、彼を責め立てるのではなく、僕らは学ぶために取り組むべきだと信じている」

「そこからなにかを得られれば、人類にとって大きなステップになる。この素晴らしい世界に住んでいるのだから、怒りに焦点をあてるのではなく、前向きに進んでいきましょう」

 複数メディアの報道によると、ダルビッシュは米大リーグ機構(MLB)がグリエルの行為に対して何らかの処分を下すべきだと語ったという。

 米国内でワールドシリーズを放送したフォックス・スポーツ(Fox Sports)は、MLBのロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーが28日にグリエルと面談する予定だと伝えている。

 アストロズのA.J.ヒンチ(A.J.Hinch)監督は、グリエルは自身の行為について「後悔して」いて、声明を発表する予定とコメント。しかし、試合終了から1時間30分経過した時点では、音沙汰はない。

 ヒンチ監督は「気付いていた。彼から声明が出るだろう。彼が後悔していることは分かっている。しかし、それ以上のことについては分からない」と語った。

 一方でドジャースのデーブ・ロバーツ(Dave Roberts)監督は、試合後にグリエルの行為について問われて驚いた様子だった。

「見ていない。そんなことがあったのは驚いた。まったく知らなかった」 (c)AFP/Jim SLATER