【10月27日 CNS】宅配便などの荷物を受け取った後、個人情報を保護するために、伝票をすぐに処理する習慣がついてしまっていないだろうか? しかしそういった伝票に限って、手では破きにくい。そんな面倒を解消するために、受取人の名前や連絡先、住所などの一部を他の記号で表すなどした「プライバシー伝票」なるものが近頃、出始めた。

 中国の宅配業者は、伝票に書かれた受取人の連絡先へ電話をかけて受取人を呼び出し、受取人が宅配員のいる場所まで荷物を取りに行くというシステムだ。多くの場合、宅配員は団地の入口や、会社の正門、学校の校門などに、まとめていくつかの宅配物を持って来ていることが多い。

「プライバシー伝票」は、多くの宅配業者で取り入れられるようになった。しかし、ここで新たな問題が浮上してきている。個人情報を隠しすぎて、受取人がたくさんの荷物の中から自分宛ての荷物を探すのが大変なのではないかということだ。

 大手通販サイト「京東(JD.com)」北京(Beijing)の関係者によると、今のところ荷物の取り違えなどの問題は起こっていないという。「連絡先に関してもほんの一部分しか隠しておらず、他人の電話番号と重複する可能性は低い」という。

 配達員も特に不便はないと話している。専用の機械で伝票を読み取れば、内部システムで顧客情報を参照できるようになっており、これまでどおり配達できているという。

 国家郵政局、公安部、国家安全生産監督管理総局などは2015年末から、実名登録による宅配制度を推進しているが、どのようにして個人情報を保護するかという問題については議論が続いている。

 中国人民大学(Renmin University of China)商法研究所の劉俊海(Liu Junhai)所長は、「実名登録制度を実施するには、二つの問題を解決する必要がある」という。一つは送り主の情報を正確に把握し、追跡できるようにすること。二つ目は、消費者の個人情報の保護。消費者の個人情報が十分に保護できる保証がなければ、実名登録制度の実現は難しいと指摘している。

 中国宅配協会の邵鐘林(Shao Zhonglin)元副秘書長は、プライバシー保護対策伝票は各宅配会社が自主的に行っている段階であり、まだ国家政策として強制しているわけではない。しかし、消費者の個人情報保護についてはデータベース内の情報漏えい防止や、ハッカーの侵入を防ぐなど各会社でさまざまな対策がとられているという。(c)CNS/JCM/AFPBB News