【10月27日 AFP】国連(UN)は26日、麻疹(はしか)による世界の年間死者数が2016年に初めて10万人を下回ったと発表した。一方で、全世界のワクチン普及率の引き上げは「行き詰まり」状態になっているという。

 世界保健機関(WHO)は麻疹ウイルスに関する年次報告書の中で、2016年の麻疹による死者数を9万人と推計している。

 WHOは、GAVIアライアンス(GAVI Alliance)、米疾病対策センター(CDC)、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)などを含む他の主要保健機関と合同で発表した声明で、「世界の麻疹死者数が年間10万人を下回ったのは、これが初めてだ」と述べている。

 声明によると、麻疹死者数は2000年以降で84%減少したという。

 年次報告書は、2000年以降に予防接種55億回分のワクチンを配置したことが死者数減少の最大の要因となっているが、今後もさらにワクチンの普及を拡大する必要があると指摘している。

「世界は、麻疹の地域的根絶という目標の達成にはまだほど遠い」

「2回接種が必要な麻疹ワクチンの1回目分の普及率は2009年以降、約85%で行き詰まりとなっており、麻疹感染の阻止に必要な普及率95%にははるかに及んでいない。2回目分の普及率は、近年上昇しているものの、2016年は64%にとどまった」と続けた。

 ワクチン未接種の子どもの数が最も多い国は、ナイジェリア、インド、パキスタンとなっている。

 麻疹は非常に伝染性の高いウイルスで空気感染する。症状は、発熱、発疹、のどの痛みなど。(c)AFP