【10月26日 AFP】パプアニューギニアで発見された6000年前の頭蓋骨が、津波の犠牲者としてこれまで知られている中では最も古いものだった可能性があるとの研究結果が25日、米科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」で発表された。

 アイタペ・スカル(Aitape Skull)と名付けられた頭蓋骨の一部は1929年、オーストラリア人地質学者のポール・ホスフェルド(Paul Hossfeld)氏によってパプアニューギニア北部の海岸から12キロほど内陸に入った場所で発見された。

 アイタペ・スカルは、現生人類の祖先とされる約14万年前に絶滅したホモ・エレクトスのものと長らく考えられていた。

 だが近年、放射性炭素年代測定法によりアイタペ・スカルは6000年ほど前のもので、われわれ人類――ホモ・サピエンスの一員であると推定されるようになった。また6000年前は海面が現在よりも高かったため、アイタペ・スカルの発見場所は海岸付近だったとみられている。

 豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)が率い、米国、フランス、ニュージーランド、およびパプアニューギニアの研究者らも参加する国際研究チームは、アイタペ・スカルの発見現場で新たな分析を実施。ホスフェルド氏が観察したものと同じ堆積物を集めて研究室に持ち帰り、津波が押し寄せたことを確認する手掛かりとなる堆積物の粒子のサイズや化学的な組成などを詳細に調査した。

 その結果、堆積物の中から海に由来する、ある種の微細な有機体を特定し、それが1998年に同地に壊滅的な被害をもたらした津波後の土壌の中から発見された有機体と類似することを突き止めたという。(c)AFP/Martin PARRY