【10月27日 CNS】「中国電気機関車の都」といわれる湖南省(Hunan)株洲市(Zhuzhou)の中心部で23日、中国中車(CRRC)の子会社、株洲電力機車研究所が開発した世界初のスマートレール電車が、試運転を行った。

 スマートレール車両は1編成で長さ31.64メートル、幅2.65メートル。最大で300~500人を乗せることができる。試運転は株洲市神農大通りで実施。スマートレール試運転の車線幅は3.75メートルで、大通り両側の緑化帯と隣り合わせのスペース。車内の装飾は列車に似ていて、液晶画面に次の停車駅が提示される。電車は最高時速70キロで、地面に引かれている仮の軌道線である白線をなぞって、スムーズに走行していた。

「車載センサーが路面の仮想軌道を識別し、中央制御ユニットの指令を通じて、電車の調整、ブレーキ、ステアリングの正確性を調整する。既定の仮の軌跡になぞって精密に列車の走行を制御します」と、株洲電力機車研究所のヒョウ江華(Feng Jianghua)総技師長はCNS記者に話した。

 スマートレール電車の構想は、2010年~11年ごろに持ち上がった。シミュレーションプラットフォーム、実験系統などの構築から試運転車まで、実に8年間の歳月が流れて行った。スマートレール電車は伝統的な軌道の概念を覆しただけではなく、車両システムに事故防御機能が備えられ、より安全で効率が高く、環境に優しい目標が実現された。

「道路は私たちを載せてくれているが、我々も道路に縛られていた」と、ヒョウ総技師長は指摘する。「現在は車の保有量が急激に増加し、都市発展の資源は道路しかない。伝統的な軌道交通システムは建設期間が長く高コスト、柔軟性が少ないという状況の中、新しい交通方式が望まれる」

 スマートレール電車は省エネで環境に優しく、交通輸送量も比較的大きく、コストも抑えられる。新エネルギーを搭載しており、環境汚染のもとになる排ガスを出さない。10分間の充電で、25キロメートル走行が可能だ。高速鉄道の柔軟な編成モードを採用して利用者数の変化に応じて輸送力を調節し、3~5車両編成で、最大300~500人を乗せることができる。

 専門家によると、スマートレール電車1本の建設期間は1年で済み、さらに建設コストは伝統的な路面電車よりずっと低く抑えられる。また、安全面ではスマートレール電車に大きな利点がある。電車の「頭脳」の部分を通じて、電車自体の位置づけや周辺環境の危険情報を収集し、外部に潜む危険のありかを警告してくれる。

 第1期モデルラインの試運転を経て、来年の半自動運行の開始を経て、モデルラインの2期工事を行う。従来のバスや交通システム、バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit、BRT)やリニアモーターカーとの接続なども実現させ、2020年には全自動運転を実現する計画だ。

 株洲スマートレールモデル線工事の設計を担当した、中国鉄道第4勘察設計院(China Railway Siyuan Survey and Design Group)の付萃清(Fu Cuiqing)副総技師長は、「スマートレール電車システムは規範や標準がなく、法規も空白の状態だ。どのようにしてこの新しい交通方式と既存の交通システムと調和させるかについては、まだ多くの問題が残っている」と率直に話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News