【11月5日 AFP】ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)の空港で2年前に着陸に失敗し滑走路は外れたトルコ航空(Turkish Airlines)の機体が、同市初の航空博物館として復活する。フライトはできないが、今後もチケットを持つ人たちを機内に迎え入れることになる。

 2015年、乗客224人を乗せた同航空のエアバス(Airbus)A330便は、カトマンズ国際空港へ着陸の際、滑走路を外れ脇の草地に進入し、先端部分を地面に突っ込むかたちで停止した。この事故によるけが人は出なかった。

 事故機はその後、空港の使っていない区画に移動されそこに2年間、放置されていた。パイロットのベッド・ウプレティ(Bed Upreti)さんがあるアイデアを思いつくまでは。

 ウプレティさんは事故機の機体を航空博物館として生まれ変わらせるために60万ドル(約6800万円)を出資した。

 事故機を航空博物館として生まれ変わらせるにあたり、最初にしなければならなかったことは、全長63メートルの機体を空港から道路を挟んだ反対側の博物館用の敷地へ移動することだった。この作業は予想以上に困難だったという。

 作業ができた時間帯は空港が閉まっている夜間のみで、トルコから呼ばれた技師らは6週間かけて機体を10の部位に分解し、それらをトラックで500メートル先の敷地に移動。その後、機体を元通りに組み立てるのにさらに2か月かかったという。

 機体のビジネスクラスだった部分では、ライト兄弟(Wright Brothers)が製作し、人類初の動力飛行に成功した飛行機の模型が展示され、後部はカフェになる予定だ。他にも150機以上のミニチュア飛行機を使った航空史やネパールの航空産業などに関する展示が行われる。

 ウプレティさんは、この博物館から刺激を受け、若者たちがパイロットやエンジニアを志すことを期待するとともに、観光客らには人気のスポットになると自信を示している。ウプレティさんによると、近くを通り掛かる人たちは早くも、新しい博物館を一目見ようとそっとのぞき込んでいるという。(c)AFP/Paavan MATHEMA