【10月25日 AFP】マスケット銃から機関銃まで、米国人と銃とのつながりは、国そのものと同じくらい古く、また複雑だ──。しかし、米国におけるこの銃と人との密接な関係性に対して今、厳しい視線が向けられ始めている。最近では、ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で起きた、58人が犠牲となった同国史上最悪の銃乱射事件が多くの人に衝撃を与えた。

 米国は、独立戦争で生まれた国だ。この流血の革命に加え、南北戦争、先住民の大量殺りく、そして西部開拓時代の荒くれ者たちの物語と、銃はその歴史の中でいつも大きな役割を担ってきた。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアダム・ウィンクラー(Adam Winkler)教授(憲法学)はAFPの取材に「それは米国が、専制政治に反対し戦う武装革命の建国を理想化しているという事実に拠るところもある」と話し、「国民のアイデンティティーが、間違いなく銃の文化に、深く結びついている」と続けた。

 米国の銃社会についての著書があるA.J.サマセット(A.J.Somerset)氏も「銃は国家の神話の中で、大体において中心を占めている」と語り、「独立戦争から発生するすべての神話は、ライフルを前面に、そして中心に位置づけている」と指摘する。サマセット氏は、カナダ軍の元兵士で自身も銃所有者だ。

 だが、銃が本当に国のシンボルとなったのは1775~1783年の米独立戦争から数十年後のことだ。19世紀半ばに銃火器が急速に改良されると、連続して発砲可能なコルト回転式拳銃や後装式のライフルが登場し、そしてウィンチェスターライフルへと続いた。これらは西部開拓時代と重なり、銃との関係が神話化する起点となった。

 米国には現在、その人口を上回る3億丁以上の銃がある。同国で起きる銃火器による死者は年間約3万人に上り、その3分の2近くは自殺だ。

 世論調査機関ピュー・ リサーチ・センター(Pew Research Center)が6月に実施した調査によると、米国では10人中4人が銃を持つ家庭に住んでおり、銃所有者の67%が銃所有の主な理由を自衛だと答えている。