【10月24日 AFP】(更新)ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が迫害を避けて隣国バングラデシュに大量に避難している問題で、米国は23日、ロヒンギャの住民に対する暴力行為に関わったミャンマー軍の部隊や幹部らに対する軍事支援を停止すると発表した。また、「残虐行為」に関与した個人を標的とした経済制裁を検討するともしている。

 米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は「(ミャンマー西部)ラカイン(Rakhine)州で最近起きた出来事やロヒンギャの人らが受けた暴力、悲惨な虐待に対する最も深刻な懸念」を表明。残虐行為に関わったいかなる個人、団体も責任を負わなければならないと強調した。

 米国とミャンマー軍との関係は限定的で、米国は長期にわたってミャンマーへの武器売却も禁じている。今回の措置は従来の立場を強化する形となる。

 国務省はこのほか、ミャンマー軍幹部らを対象とした渡航制限の検討を凍結することなども明らかにした。

 レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官は先週、ロヒンギャの難民危機について、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問率いるミャンマーの文民政権と区別して軍の方に責任があるとの見解を示していた。

 ラカイン州では8月末に武装集団が治安部隊を襲撃したことへの報復として、軍が大規模な掃討作戦とロヒンギャへの迫害行為を実施。国連(UN)は民族浄化が起きていると非難している。

 同州からはこれまでに60万人を超えるロヒンギャの人がバングラデシュに逃れている。(c)AFP