【10月24日 AFP】小型のネズミに似た哺乳類のトガリネズミは、冬の間に頭蓋骨が縮小し、春になるとほぼ元の大きさに戻る。この不可解なプロセスを観察で確認したとの研究論文が23日、発表された。

 頭蓋骨の縮小と再増大のサイクルは、その原因についてはほとんど分かっていないが、季節移動や冬眠をしないトガリネズミが冬を越す助けになっている可能性があると、研究チームは指摘している。

 独マックス・プランク鳥類学研究所(Max Planck Institute for Ornithology)の研究チームによる論文の主執筆者のハビエル・ラザロ(Javier Lazaro)氏は「頭部の大きさ、すなわち脳の大きさを縮小することは、それに不釣り合いなほど大きなエネルギーの節約になる可能性がある」と述べ、脳がより多くのエネルギーを消費する器官であることを説明した。

 トガリネズミの頭蓋骨の収縮は以前にも観察されていたが、23日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文では、トガリネズミ十数匹を2014年の夏から2015年の秋までにわたって観察することで、このプロセスを初めて詳細に記録することに成功した。

 トガリネズミの頭蓋骨は、冬に最大20%縮小した後、春に15%再増大した。測定にはX線写真を使用した。認知能力への影響については今後の研究で明らかにされる可能性がある。

 測定では、頭蓋骨だけでなく、体の他の部分にも縮小がみられた。いくつかの主要器官は質量が減少し、背骨は短くなり、脳の質量は20~30%減少した。

 体が比較的大きなトガリネズミ個体は死に絶えてしまうことが過去の研究で示唆されていたが、今回の最新研究ではこれは起こらないことが分かった。

「これは、あらゆる個体が毎年冬になるとこの変化を経験することを意味しており、このことは依然として不可解なままだ」と、ラザロ氏は話した。(c)AFP