【10月23日 AFP】シリアの東グータ(Eastern Ghouta)で22日、肋骨が浮いて見えるほどやせ細った生後1か月の女児、サハルちゃんが息を引き取った。バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権軍に包囲された壊滅状態のこの町では、子ども数百人が飢餓に直面している。

 シリアの首都ダマスカス(Damascus)の東方に位置するこの地域は反体制派の支配下にあるが、2013年以降、アサド政権軍が厳重な封鎖体制を敷いており、人道支援団体からの援助はこれまでほんのわずかしか届いていない。

 内戦6年目に突入したシリアでは今年5月、政権軍と反体制派のそれぞれの支援国の間で交わされた取り決めによって、東グータを含む4か所の「緊張緩和地帯(ディエスカレーション・ゾーン)」が設置された。しかし依然として、東グータに食料が届くことはめったになく、現地の医療当局者によると、子ども数百人が急性栄養失調に直面している。

 生後わずか34日のサハルちゃんの両親は21日、東グータの町ハムーリア(Hamouria)にある病院に娘を連れて行った。AFPと提携している記者が撮影した画像には、うつろな目を大きく見開き、ほぼ骨と皮だけになった女児が写っていた。

 女児は泣き声を上げようとするが、体力が足りず大きな声が出せない。そばにいた若い母親からはすすり泣きがもれた。がりがりに痩せた女児のももは、ぶかぶかのおむつから突き出ていた。女児を体重計に乗せて測ってみると、2キロに満たなかった。

 グータに住む他の数百人の子どもたちと同様に、サハルちゃんも急性栄養失調に陥っていた。母親は栄養不良のため十分な母乳を与えることができず、肉屋でわずかな賃金しか得ていない父親にはミルクや栄養剤を買うことができない。

 サハルちゃんは22日朝、病院で死亡した。両親は一人娘を埋葬するため、遺体を抱いて近隣の町に向かった。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、グータでは前日の21日にも、別の子どもが栄養失調のため死亡している。「住民らは深刻な食料不足に陥っており、市場に商品が並んだとしても、法外な値段が付けられている」という。

■亡霊のような顔

 東グータの病院や診療所の医師らは、栄養不良の子どもを1日に数十人は診察すると話しており、その数は増加の一途をたどっている。

 グータに複数の医療センターを開設しているトルコのNGO「ソーシャル・デベロップメント・インターナショナル(Social Development International)」の現地医療業務長を務めるアブ・ヤフヤ(Abu Yahya)医師によると、同団体の施設がこの数か月間で診察した子どもの数は9700人に上る。「このうち80人は重度の急性栄養失調、200人は中程度の急性栄養失調にかかっており、約4000人に栄養欠乏症状がみられた」という。

 国連の統計によると、シリアの封鎖地域で暮らす人々は約40万人に上っており、その大半は東グータに集中している。

 アサド政権を支援するロシア、イランの両国と、反体制派を支援するトルコの後押しを受けて緊張緩和地帯に関する取り決めが合意されたものの、同地域では依然として非常に限られた支援しか受けることができない。アブ・ヤフヤ医師は、この地域には子どもたちが必要とする糖分やたんぱく源、ビタミン源となる基本的な食料が届いていないと話している。(c)AFP/Amer Almohibany