【10月23日 AFP】17-18イタリア・セリエAは22日、第9節の試合が行われ、ジェノア(Genoa CFC)と0-0で引き分けたACミラン(AC Milan)のヴィンチェンツォ・モンテッラ(Vincenzo Montella)監督は、レオナルド・ボヌッチ(Leonardo Bonucci)にレッドカードが提示される結果となったビデオ判定に怒りをにじませた。

 イタリア代表のボヌッチは前半25分、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)でアレアンドロ・ロジ(Aleandro Rosi)の顔面に肘を入れたことが確認されて退場処分になった。この判定は試合の流れを変えただけでなく、モンテッラ監督のキャリアにも影響を与えることになりそうだ。ミランは順位を11位に落とし、指揮官は中国の経営陣からの重圧にさらされている。

 モンテッラ監督は試合後、伊スカイ・スポーツ(Sky Sport Italia)とメディアセット・プレミアム(Mediaset Premium)に対して不満をもらし、「今の審判にはこのテクノロジーがある。彼らは自尊心を満たすためにVARを使い、レッドカード出している」と述べた。

「私はVARが良い効果をもたらすと考えている。だがわれわれはテレビの世界にいるのか、ピッチ上にいるのかを決断しなければならない」

「私は選手が審判に文句を言う姿を見たくない。ボヌッチは驚いていた。はっきりとした映像ではなかった。彼が故意に肘を入れたと言うことはできないはずだ」

 クラブの上層部は指揮官への信頼を口にしているが、モンテッラ監督は自身の将来が疑問視されていることを認め、「私のキャリアを変える可能性がある出来事だ。われわれは自分たちにとって不利な事柄や状況の高い代償を支払っている。だがわれわれにはここを切り抜ける力がある。きょうはそれを証明した」と語った。

 VARは今季からイタリアとドイツで採用されているが、このシステムの使用に該当する4つのケースにレッドカードの提示も含まれている。VARはほかにゴールの有効性、PKの判断、誤って警告などを受けた選手の訂正の際に使用される。

 ユベントス(Juventus)のマッシミリアーノ・アレグリ(Massimiliano Allegri)監督は今月上旬、「このままでは何度も中断が入り、ナッツを食べながら試合が真夜中に終わる米国の野球のようになってしまう」とコメントし、サッカーがVAR使用の影響を受け、試合時間の長い米国のスポーツのようになってしまうのではないかと苦言を呈していた。

 ジェノアのイヴァン・ユリッチ(Ivan Juric)監督は「私は常にVARを支持してきた。ポジティブで競技を改善するものではあるが、多くの疑問も残している」と話し、VARには微調整が必要との考えを示している。

 一方、ドイツ・ブンデスリーガ1部では22日、1-1に終わったヘルタ・ベルリン(Hertha Berlin)とフライブルク(SC Freiburg)の試合で、両チームの得点がいずれもVARによる中断後に認められた。

 フライブルクは後半7分、クリスティアン・ギュンター(Christian Guenter)がペナルティーエリア内でファウルを受けていたことがVARにより確認され、このPKをヤニク・ハベラー(Janik Haberer)が決めて先制した。

 ヘルタは同32分、アルネ・マイアー(Arne Maier)がペナルティーエリア内で倒されて得たPKをサロモン・カルー(Salomon Kalou)が外したが、その4分後に再びヘルタにPKが与えられてカルーは汚名返上の機会を手にした。VARでダヴィー・ゼルケ(Davie Selke)がペナルティーエリア内でファウルを受けたことが確認されたため、再びキッカーを務めたカルーが今度はシュートを沈めている。

 ヘルタのパル・ダルダイ(Pal Dardai)監督は、「サロモンが最初のPKを外したあと、私はマネジャーに『われわれはつきに見放されている』と言ったが、彼は2度目もボールを手にして成功させた」とコメントした。(c)AFP/Emmeline MOORE