【10月22日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相への「憎しみ」を表すせりふがあるとの理由で公開中の映画の一場面をカットするよう求めた与党インド人民党(BJP)にインターネット上で非難が集まっている。

 この映画は、タミル語作品『メルサル(Mersal)』。インド南部のスター俳優ビジャイ(Vijay)が演じる登場人物が、「シンガポールの国民は7%の物品サービス税(GST)を納め、無料で医療を受けている。インド政府は国民から28%のGSTを取っているのに、なぜ無料で医療を提供できないのか」と話すシーンがある。

 これに不満を持ったBJP党員らが、このシーンのカットを要求した。同党幹部の一人は20日、ツイッター(Twitter)への投稿で「シンガポールで医療が無料だというのは事実ではない」とせりふの内容に反論するとともに、この映画が「モディ首相に対するビジャイの憎しみ」を表していると主張した。

 BJPのカット要求は、ソーシャルメディア上で猛反発を引き起こした。21日には、表現の自由を抑圧する動きだとして大勢のネットユーザーがBJPを非難し、「#Mersal(メルサル)」や「#MersalvsModi(メルサル対モディ)」のハッシュタグがトレンド入りした。

 GSTは国税と州税が複雑に絡み合った税制を簡素化し、アジア第3の経済大国インドを経済規模2兆ドル(約227兆円)の単一市場にすることを目指して7月1日に導入された。しかし5%から28%まで4段階の主な税率があるGSTは企業に混乱を招き、売上高の減少や経済成長ペースの鈍化につながっている。

『メルサル』はインドで18日に公開。記録的な興行成績を挙げ、映画館には大勢の観客が詰め掛けている。(c)AFP