【10月19日 AFP】(写真追加)トイレットペーパーのホルダーからファストフード店や旅行、犯罪の取り締まりに至るまで、中国では今、世界に先駆けて顔認証技術を確立するための取り組みが行われている。

 この技術によって生活はより便利になり、迅速性や安全性も向上すると主張する推進派がいる一方で、反対派は中国政府の陰険さがまたしても露呈したと反発し、中国国民14億人の行動がさらに監視されるようになると警戒している。

 上海(Shanghai)をはじめとする中国の都市では最近、交通違反の取り締まりに顔認証技術の導入を開始した。上海の一部の交差点では、信号無視をした歩行者の画像が近くのスクリーンに表示されるようになり、この画像を取り下げてもらうためには罰金20元(約340円)を支払わなければならない。

 中国共産党の一党支配が行われている中国は、すでに世界で最も厳重な監視社会の一つであり、推定1億7600万個以上の監視カメラが作動しているとされる。

 だが、警察は、顔認証によって治安が良くなると主張している。顔認証は、偽名を使って法の網を逃れようとする犯罪者を捕らえる際にも使用されている。ビールで有名な青島(Qingdao)では最近、ビールフェスティバルの入場ゲートに顔認証システムを設置したところ、指名手配されていた25人もの容疑者を逮捕できたという。

 中国では16歳以上の国民は全員、顔写真と住所が明示された身分証明書(IDカード)を携帯しなければならないが、これは当局が膨大な量の情報を手にしていることを意味する。

 中国政府は、自国のプライバシー関連法が比較的緩いことや、国民が自分の顔写真や指紋、その他の個人情報を提供することに慣れていることを背景に、欧米諸国に先んじて顔認証スキャナーの配置を急いでいると指摘する専門家らもいる。