張さんは今年、61歳になった。当時、結婚しないという選択をしたことを後悔はしていない。定年になっても仕事を辞めるつもりはないという。健康である限り、この村に居続けたいと決めている。

 中国に10か所ある「SOS子どもの村」では現在、「お母さん」の後継者不足が問題になっている。張さんたちが暮らす煙台の「子どもの村」には、すでに5人の定年になった「お母さん」がおり、現在は16人の「お母さん」とサポート役の2人の「おばさん」がいる。新しい「お母さん」を募集中だが、なかなか見つからないのだという。

「お母さん」になるためには結婚してはいけないし、自分に子どもがいてもいけない。専門学校卒以上の学歴を持つ25~35歳の女性で、採用試験にも合格しなければならない。しかし、やっと合格しても実際の仕事の大変さに適応できずに辞めてしまう人もいるのだという。

 福建省(Fujian)莆田市(Putian)にある「子どもの村」にいる「お母さん」「おばさん」たちは、ほとんどが40代と50代だ。村の職員は、「新しい『お母さん』を募集しているが、給料が特別高いわけでもないので、なかなか集まらない」と話している。莆田の「子どもの村」では、例外的に「お母さん」の条件である「未婚であること」を強制していない。しかし、「拘束時間が長いので、自身の夫婦関係にはあまり良くない。また、自分の子どもがいても村では育てられないし、愛情が偏ってしまう恐れがある」と話し、結婚することを推奨はしていない。定年退職した「お母さん」のために老後の住まいを用意しているが、それでも応募者は少ないという。(c)東方新報/AFPBB News