【10月22日 東方新報】中国には「SOS子どもの村」が10か所あり、その中に138の「家庭」がある。「子どもの村」とは、一般家庭に近い環境で孤児などを保護する民間慈善施設で、家庭は7~9人の14歳以下の子どもたちと「お母さん」1人で構成される。「お母さん」は、子どもたちと生活を共にし、扶養・教育を行う。

 1986年のある日、故郷の協同組合で働いていた張雨ショウ(Zhang Yuxiao)さんは、山東省(Shandong)煙台市(Yantai)福山区(Fushan)に「子どもの村」が建設され、「お母さん」を募集しているという情報を耳にした。

 当時30歳だった張さんは、「お母さんになりたい」と家族に相談したが、猛反対にあった。しかし、その反対を押し切って煙台の「子どもの村」を訪れ、お母さんの一員になった。

 未婚なのに、子どもたちに「お母さん」と呼ばれた張さんは当初、くすぐったいような恥ずかしいような気持ちになったという。実際のお母さんの仕事は、右も左もわからないことだらけだった。張さんは、村が開く「お母さんになるための研修」に参加したり、他の新米お母さんたちと交流を図ったり、本を読んで研究したりした。